株式会社明治屋様

時が流れても変わらないお客様との絆と進化し続ける価値創造

商品事業本部 企画部 西方 由香様

1885年の創業以来、139年にわたり日本の食文化に革新をもたらし続けてきた株式会社明治屋。「お客様第一」の精神を貫きながらも、時代の変化に柔軟に対応し続ける姿勢により、明治屋は日本の食品業界で独自の位置を築いてきました。今回は商品事業本部企画部の西方様に、顧客との深い絆を大切にしながら新たな価値創造に挑戦し続ける明治屋の真髄についてお話を伺いました。

時代とともに変化する「価値」を提供し続ける

明治屋様の創業や歴史について教えてください。

西方様:当社の創業者・磯野計は、明治屋創業前に三菱財閥の推薦を受けて三菱第一回の給費留学生として、現地の商業や文化を学んでいました。その体験をもとに、帰国後の明治18年(1885年)に明治屋を創業しました。創業当初は日本郵船の船舶への食料品や雑貨の納入から事業を開始し、これが当社の始まりとなったのです。その後、食品輸入やレストラン事業など、多角的に事業を展開してきました。

長い歴史の中で守り続けている伝統はどのようなことでしょうか。

西方様:「いつも いちばん いいものを」という企業理念を守り続けています。これは単に最高品質の商品を提供するだけでなく、時代の変化に応じてお客様がその時に求めているものに合わせて最適なもの、お客様が求める以上の価値を提供するという意味を持っています。

伝統を守りながら、常に新しいことにも挑戦されてきたと伺いました。具体的にどのようなことに取り組まれてきたのでしょうか。

西方様:実は、明治屋が日本で初めて行った取り組みは数多くあるんです。例えば、キリンビールの創業に関わったことや、月桂冠を瓶詰めで流通させたのも当社が先駆けとなって行いました。ほかにも、諸説がありますが日本で最初にコカ・コーラを販売した会社の1つだったり、クリスマス大売出しを最初に始めたりしたのも当社だと言われています。

日本初の取り組みが多く驚きました!伝統と革新のバランスについてはどのようにお考えですか。

西方様:先程もお伝えしたとおり、明治屋は日本で初めて行った取り組みが数多くあります。そういった革新的な取り組みが、時を経て当社の伝統となっていくんです。つまり、伝統と革新は、挑戦の結果として生まれる一連のものだと解釈しています。

ただ、新しい取り組みを行う際には、企業理念を大切にしています。新しいものやサービスを取り入れていくことは、新しい文化を創造することにも繋がるのです。私たちは食品会社なので、食文化を新たに探求していくことは継続していくべきだと考えています。

私自身も新たな食文化の探求を実践する一員として務め、ECサイトの充実など、インターネットでの対応を拡大していくことの重要性を感じています。その中で最も大切にしているのが、人の思いに寄り添うという基本姿勢です。人の思いに寄り添い、語り継ぎたい喜びを後世に繋いでいくことを、私たちは常に心がけています。

新しいものを取り入れながらも、お客様の気持ちを大切にし、長く愛されるものを作っていく。そのバランスを取ることが重要だと思っています。

社員1人ひとりのきめ細やかな“おもてなし”の心

顧客サービスについて、明治屋ならではの特徴的な点はありますか。

西方様:私の所属する事業部は直接店舗運営に関わっていないのですが、店舗での接客は長年のお付き合いから生まれる信頼関係の賜物だと思います。明治屋では、特定の従業員を指名されるお客様も少なくありません。お客様から「今日、〇〇さんいますか?」と聞かれるところから始まることもあります。いつも同じ従業員を頼りにされる方など、お客様それぞれの好みや信頼関係によるサービスが自然と形成されています。

ほかにも家族代々でご利用いただいているお客様が多いので、お客様の家族構成や好みを把握して、きめ細やかな対応を心得ていると聞いています。例えば、「この方が来たら、あの方の娘さんだな」といった具合に、ご家族の繋がりまで理解した上での対応が期待されているのだと思います。

長い歴史と諸先輩方の努力のおかけでこのような関係性を築き、信頼いただけていることは本当にありがたいと感じています。

お客様との関係性が素晴らしいですね。社員の方々の意識の高さが伺えます。

西方様:今の私の担当業務においては、普段お客様と直接顔を合わせてコミュニケーションするような場面が少ないのですが、年末などの繁忙期には現場に立たせていただくことで、お客様のフィードバックや店舗での接客体験を通じ、継続的な改善に役立てています。
代々受け継いだお客様との「顔の見える」信頼関係を大切にしつつ、オンラインとオフラインの融合など様々なアプローチで、今の時代に適応した新しい価値を創造していきたいです。

誠実に対応をすることでお客様との絆を深める

現在ECサイトを運営されていますが、ECサイトを導入するまでの経緯を教えてください。

西方様:2022年10月にECサイトをオープンしました。実は、このECサイトの導入には様々な課題がありました。当社は歴史が長く、取引先との関係も深いので、いきなりダイレクト販売を始めるのは難しかったんです。
そこで、2014年にまずクローズドのサイトを立ち上げて、職域販売(特定の企業の従業員様向けの販売)としてスタートしました。その後2022年に一般向けのECサイトとして本格的にオープンすることになりました。

ECサイト導入後の変化はありますか。

西方様:ECサイトの導入で、これまで明治屋を知らなかった方々にもアプローチできるようになりました。具体的には、ECサイトで購入された方の約4割が明治屋を初めて利用した方だったんです。
ウェブ広告や自然検索を通じて、これまで明治屋を知らなかった層へのアプローチも可能になったのは大きな変化だと思います。

4割もの新規顧客獲得は素晴らしい成果ですね。今後の展開にも期待が高まります。ECサイト運営で印象に残っている出来事はありますか。

西方様:2024年2月に大きな注目を集めた出来事が印象に残っています。英国ブランド「アニヤ・ハインドマーチ」とコラボレーションした明治屋ストアー限定のバッグを販売した際、予想以上に需要が高く、アクセスが集中して繋がりにくい状態に。そのため、ご購入手続きに大変なお手間を取らせてしまいながらも、多くのお客様に購入いただけない事態が起きてしまったんです。
電話やメール、SNSなどあらゆる手段でお問い合わせが殺到し、長時間にわたってお電話で対応させていただいたお客様もいらっしゃいました。

その状況をどのように乗り越えられたのでしょうか。

西方様:お1人おひとりのご意見に丁寧に対応することで、困難な状況を乗り越えることができたと思います。ご購入いただけなかったことに対して心からお詫び申し上げるとともに、お客様の気持ちに寄り添い、真摯に受け止める姿勢を示すことに注力しました。メールは定型文で返信するのではなく、個別に文面を作成しました。
丁寧な対応を重ねていくとお客様が次第に冷静になり、最後には「明治屋の従業員の対応に感銘を受けた」「真摯な対応をしてくれる従業員がいる明治屋を利用していることを非常に誇りに思うし、ますますファンになりました」といったお言葉をいただけたんです。

この経験から、危機的状況でも、誠実な対応がお客様との絆を深める機会になり得ると学びました。
多くのお客様からいただいたお叱りやご意見を省みて、お客様のご期待に添えなかった点や一層のサービス向上が求められていることを痛感しています。

その後、どうしたらできるだけ多くのお客様に満足いただけるかについて社内で話し合いをしました。今後、同様の企画を実施する場合の改善点や展開方法については、Eストアーさんが具体的なオプションを提案くださるなど、親身に相談に乗ってくださいました。現在のサイト立ち上げ以来サポート担当の駒ケ峯さんには特に感謝申し上げます。

ECサイトを「ハッピーな買い物体験」を提供する場所へ

ECサイト運営について課題はございますか。

西方様:ECサイトの最大の課題は、店舗での接客のようなきめ細かいサービスをどう実現するかということです。店舗では常連のお客様の好みを把握し、個別の提案ができますが、オンラインではそれが難しいと感じています。

明治屋では買い物そのものを楽しんでくださるお客様も多いのですが、その「買い物体験」をどうオンラインで再現するかも課題の1つですね。

なるほど。では、そういった課題を踏まえて、今後のECサイトの展望をお聞かせください。

西方様:私たちが目指しているのは、単なる販売サイトではなく、「ハッピーな買い物体験」を提供する場所です。具体的には、コンテンツやお悩み相談の受付の拡大、さらに将来的にはオフ会の開催なども視野に入れています。お客様にとって価値を高めるような体験ができ、買い物をしなくても日常的に訪れてくれるような場所を目指しています。

最終的にはお客様の満足度を高め、ファンを増やしていくことが目標です。そのために、様々な人の思いに寄り添い、食生活に関わることもそうでないことも、皆さまのお悩みの解決を通じて、よりよい社会の実現に貢献できればと考えています。
リピーター率の向上は、こうした取り組みの成果を測る1つの指標になると思います。オンラインでもオフラインでも、お客様との絆を深め、「さすが明治屋」と言っていただけるような体験を提供し続けていきたいです。

左:明治屋 西方様 右:Eストアー 駒ヶ峯
PAGE TOP
PAGE TOP