ネットショップの開業届は必要?開業届の基礎知識と書き方ガイド
公開日:2026.02.27
開業届提出後に失敗しないための基礎知識
「ネットショップを始めるには、開業届の提出が必要?」「副業でちょっと売るだけでも、税務署で手続きしないとダメ?」
そんなモヤモヤを抱えたまま、開業準備を進めていませんか。
結論からいうと、ネットショップ開業届の提出は『原則として必要だけど、出さなくても即時ペナルティがあるわけではない』という微妙なポジションです。
ただし、きちんと届出をしておくことで、以下のようなメリットがあり、きちんと事業として育てたい人ほど恩恵が大きい手続きでもあります。
【開業届提出のメリット】
・青色申告で税金が軽くなる
・屋号口座や共済など事業者向けサービスが使いやすくなる
・融資・オフィス契約・保育園の申請などで「事業の証明」になる
この記事を最後まで読んでいただければ「自分はいつ・どうやってネットショップ開業届を出すべきか」がイメージできるはずです。

ネットショップ開業届とは?まずは全体像を理解しよう
開業届の正式名称と役割
ネットショップ開業届と言われる書類の正式名称は、「個人事業の開業・廃業等届出書」です。
どんな事業を、いつから、どこで始めたのかを税務署に知らせるための書類で、「これから事業を始めます」という意思表示の役割を持っています。
【ポイント】
・提出先:事業所や自宅住所を管轄する税務署
・費用:無料
・原則:事業開始から1か月以内に提出(所得税法第229条ベース)
会社の登記が法務局なのに対し、個人事業主の開業届は税務署(国税庁管轄)というのも押さえておきたいポイントです。
ネットショップにも開業届は必要?
税法上の「事業」は、ざっくりいうと、資産(商品など)を独立して継続的に売り、その対価として収入を得ることです。
ネットショップは、実店舗がなくても「事業」に該当します。
そのため、本業・副業にかかわらず、原則としてネットショップ開業時にも開業届が必要と考えるのが基本です。
とはいえ、提出していないからといってすぐに罰則があるわけではなく、実務上は利益が出てきたタイミングで慌てて開業届を出すという人も多いのが実情です。
開業届と確定申告・会社設立との違い
よく混ざりやすい3つを以下の表で整理しておきます。
| 開業届 | ・事業を始めたことを税務署に知らせる届出 提出していない場合でも、一定以上の所得があれば確定申告が必要 |
| 確定申告 | ・1年間の売上・経費を集計し、所得税を計算して申告 確定申告が必要になる主なケース ①事業所得が年間48万円を超える場合 ②給与所得や退職所得以外の所得(副業)の合計が20万円を超える場合 ※ただし、この基準は所得税に関するもので、住民税の申告は別途必要な場合があります。 |
| 会社設立 | ・株式会社・合同会社などを法務局に登記 登記費用がかかる代わりに、法人ならではの節税・信用面のメリットあり |
【ポイント】
開業届を出さなければ税金を払わなくていい、ということはありません。
開業届の有無にかかわらず、一定以上の所得が出れば確定申告が必要になる点は忘れないようにしましょう。
ネットショップ開業届を出す5つのメリット

1. 青色申告で税金を抑えられる
ネットショップ開業届を提出する最大のメリットが、青色申告を選べるようになることです。
青色申告を使うと、条件を満たせば税金面で以下のようなメリットがあります。
・最大65万円(または55万円)の青色申告特別控除
・赤字を3年間繰り越して、翌年以降の黒字と相殺できる
・家族に支払う給与を条件付きで経費にできる(青色事業専従者給与)
たとえば、同じくらいの利益でも、白色申告と青色申告では違いがあります。
・白色申告:控除が少なく、課税対象額が大きくなりやすい
・青色申告:特別控除のおかげで、課税対象額をグッと減らせる
【ポイント】
青色申告を選びたい場合は、「開業届」と「所得税の青色申告承認申請書」の2種類を期限内にセットで提出する必要があります。
ネットショップの売上を伸ばしていきたいなら、早い段階で青色申告の提出を前提に動くのがおすすめです。
2. 個人事業主としての「信用」を示せる
個人事業主には、会社のような「登記簿」がありません。
そこで税務署の収受印が押された開業届の控えが、「この人は事業をしています」という公的な証明になってくれます。
具体的には、以下のような場面で「開業届のコピーを提出してください」と言われることがあります。
・楽天市場など一部モールへの出店審査
・銀行口座開設や事業融資の申込み
・認可保育園の入園申請で、就労証明として求められるケース
・事務所・倉庫の賃貸契約
【ポイント】
ネットショップは自宅でもできる分、外からは本気度が伝わりにくいビジネスです。
ネットショップ開業届を出しておくことで、「副業だからなんとなく」ではなく、きちんと事業として取り組んでいることを見せやすくなります。
3. 屋号で銀行口座・カードを作れる
開業届には「屋号」という欄があります。
屋号とは、個人事業主版の会社名のようなもので、ネットショップであればショップ名をそのまま屋号にするケースが多いです。
屋号を登録しておくと、以下のようなメリットがあります。
・「屋号+本名」で事業用の銀行口座を作りやすい
・プライベートと事業のお金の出入りを分けられる
・特定商取引法に基づく表記や請求書で、屋号を使える
売上・仕入・送料・広告費…と、ネットショップはお金の動きが多くなりがちです。
個人口座にすべて混ざってしまうと、後から何が事業のお金なのか追いかけるのが非常に大変になってしまいます。
屋号の決め方については以下の記事が参考になります。
参考:ネットショップの名前はこう決める!かんたん実践ステップ
4. 小規模企業共済への加入で「節税+将来の備え」
小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の経営者のための退職金制度+節税制度のようなもので、以下のような仕組みになっています。
・毎月1,000〜70,000円の掛金を積み立て
・廃業や引退時に共済金として受け取れる
・掛金は全額が所得控除の対象
ネットショップの開業時にこの制度を利用するには、確定申告書の控えもしくは、開業直後であれば開業届の控えの提示が必要です。
以下のような注意点もあるため、長期的にネットショップ事業を続ける前提で検討すると良い制度といえます。
【小規模企業共済の注意点】
・1年未満の解約は掛け捨て
・20年未満の任意解約は元本割れの可能性がある
5. 保育園申請・融資など生活面の場面でも役立つ
ネットショップを自宅で運営しながら子育てをしている人にとっては、認可保育園の入園申請も重要なテーマです。
自治体にもよりますが、仕事をしていることの証明書類として開業届の控えの提出を求められるケースがあります。
また、将来的に、融資を受けたい、事務所や撮影スタジオを借りたいといったタイミングでも、開業届の控えが「事業実態の裏付け」として役に立ちます。
ネットショップ開業届のデメリット・注意点
失業保険が受け取れない可能性がある
失業保険(雇用保険の基本手当)は、次の就職先を探している「失業中」の人を支援する制度です。
一方、ネットショップ開業届を出し、個人事業主として事業を行っていると、「失業中」ではなく「事業をしている」とみなされ、原則として失業給付の対象外になる可能性が高くなります。
【ポイント】
失業保険を受給中にネットショップで独立したくなった場合は、自己判断で動かず、必ずハローワークに相談しましょう。
条件によっては「再就職手当」の対象になるケースもあります。
国民健康保険料の減免・扶養への影響
開業届を出して個人事業主になると、国民健康保険・国民年金への加入が前提になり、一部の健康保険組合では、配偶者の扶養から外れる必要が出る場合もあります。
※ただし、本業が会社員の場合で厚生年金・健康保険に加入していれば、副業収入による社会保険料への影響はありません。
また、前年より収入が大きく減ったときに使える国民健康保険料の減免についても、収入があるとみなされ、減免の対象外になるケースが出てくることがあります。
青色申告のための「複式簿記」のハードル
青色申告で大きな控除を受ける代わりに、複式簿記での帳簿をつけることと、決められた形式で決算書を作成する必要があります。
単純な家計簿とは違い、取引ごとに「借方」「貸方」に分けて記帳する、売上・仕入・費用・資産・負債などを整理することが求められるため、最初は少し難しく感じる人も多いでしょう。
【ポイント】
今はクラウド会計ソフトなどネットショップと連携できる会計サービスが充実しているため、簿記の教科書を1から読むより、実務で触れながら覚えるイメージに変わってきています。
所得が増えると税負担も増える(法人化の検討ライン)
ネットショップが軌道に乗り、利益が増えてくると、個人事業主の所得税(+住民税)の負担が重く感じられてくる「このまま個人で続けるか、法人化するか」の分岐点に差し掛かるという状況になります。
法人化すると、以下のような法人ならではの節税メニューが使えるようになります。
・給与所得控除
・退職金制度
・出張費や社宅などの扱い
「利益が年間◯百万円を超えてきた」という段階では、個人のまま続けた場合と法人化した場合でどのくらい税金が変わるのか、一度専門家にシミュレーションしてもらうのがおすすめです。
ネットショップ開業届とあわせて知っておきたい届出・許認可
個人事業開始申告書との違い
開業届とよくセットで名前が出てくるのが、「個人事業開始申告書」です。
・提出先:都道府県税事務所など
・対象:地方税(個人事業税)
・役割:都道府県側に「その地域で事業を始めました」と知らせる書類
個人事業税は、対象となる業種で一定以上の所得があると課税される税金です。
個人事業開始申告書を出さなかったからといって、すぐに罰則があるケースは多くありませんが、「事業を始めた人は出すことになっている書類」とされています。
【ポイント】
・開業届:国税(所得税)→税務署へ
・個人事業開始申告書:地方税(個人事業税)→都道府県へ
という住み分けだけでも押さえておくと、頭が整理しやすくなります。
取り扱い商材ごとに必要な許認可がないかチェック
ネットショップそのものには特別な資格は要りませんが、扱う商材によっては許認可が必須になる場合があります。
代表的な例は以下の通りです。
| 中古品 (古着・ブランド品・中古家電など) | 関連法令:古物営業法 必要な許可:古物商許可 申請先:所轄の警察署(生活安全課など) |
| 食品 (菓子・パン・惣菜など) | 関連法令:食品衛生法 など 必要な許可:営業許可・食品衛生責任者など 申請先:所轄の保健所 |
| 健康食品・サプリメント | 関連法令:食品衛生法・医薬品医療機器等法(薬機法)など 必要な許可:商品の種類によって異なる 申請先:保健所/都道府県の薬務課 など |
| 酒類 (ワイン・日本酒など) | 関連法令:酒税法 必要な許可:通信販売酒類小売業免許 など 申請先:所轄の税務署 |
| 医薬品・一部の化粧品や医薬部外品 | 関連法令:医薬品医療機器等法 必要な許可:薬局開設許可/医薬品販売許可/化粧品製造販売業許可 など 申請先:保健所・都道府県の薬務課 など |
【ポイント】
許可が必要な商材を無許可で扱うと、行政処分・罰則の対象になることもあります。
ネットショップ開業届とあわせて、自分の扱う商品に必要な許認可がないか必ず確認しておきましょう。
さらに、提出用と控え用で同じ内容を2部用意し、控えには税務署の受付印を押してもらうのが基本形です。
ネットショップ開業届の書き方・提出ステップ
STEP1:書式と持ち物を準備する
用意するものは次の通りです。
・「個人事業の開業・廃業等届出書」
税務署窓口でもらうか、国税庁サイトからPDFダウンロードも可
・本人確認書類
マイナンバーカード、またはマイナンバー通知カード+運転免許証など
・印鑑(認印でOKのケースが一般的)
STEP2:ネットショップ向け・主要項目の書き方
開業届の中でも、ネットショップ開業届で迷いやすい項目を以下にピックアップします。

※表※
画像引用元:個人事業の開業・廃業等届出書
【ポイント】
家族に手伝ってもらい、その給与を経費にしたい場合は、「青色事業専従者給与に関する届出書」を開業届と一緒に出しておくとスムーズです。
STEP3:提出方法と控えの扱い
提出方法は次の3つから選べます。
1.税務署窓口へ持参
2.郵送で提出
3.e-Tax(オンライン)で提出
はじめての方には、窓口持参がおすすめです。
窓口持参の場合、記入ミスがあればその場で質問できる、控えに受付印を押してもらえる
というメリットがあります。
郵送の場合は、以下を忘れずに同封しましょう。
・本人確認書類のコピー
・返信用封筒・切手
・控え用の開業届
開業届の控えをなくしてしまったら?
万が一、控えを紛失してしまっても、所轄税務署で「保有個人情報開示請求書」を提出すれば開業届の写しを発行してもらうことができます。
ただし、その場ですぐに出てくるわけではなく、数週間ほどかかるケースが多いです。
開業届の控えをスキャンしてクラウドやPCに保存しておくと、いざというときも安心です。
ネットショップ開業届チェックリスト
【ポイント】
ネットショップ開業前後に確認しておきたいことを、ざっと一覧にしておきます。
▢ ネットショップの開業日を決めた
▢ 「個人事業の開業・廃業等届出書」を入手した
▢ 職業・屋号・事業概要の書き方を決めた
▢ 青色申告をするかどうか決めた(する場合は承認申請書も準備)
▢ 個人事業開始申告書(都道府県)について確認した
▢ 取り扱い商材に必要な許認可を調べた
▢ 事業用の屋号口座・クレジットカードを準備したいか検討した
▢ 小規模企業共済など、将来の備えも視野に入れた
▢ ECカートシステム(ネットショップ構築サービス)を比較検討した
まとめ:ネットショップ開業届を味方に、事業として育てていこう
ネットショップ開業届は、一見「面倒な税務署の紙仕事」に見えるかもしれません。
しかし実際には、青色申告による節税、屋号口座や小規模企業共済など、事業者向けサービスの入り口、保育園申請や融資の際の「事業証明」といった形で、ネットショップを『趣味の延長』から『きちんとした事業』に引き上げてくれる大事なステップです。
もちろん、届出だけで売上が勝手に増えるわけではありません。
その先で大切になるのは、どのECカートシステムを選ぶか、どんなUI・導線で商品を見せるか、SEOや広告・SNSなど、どのように集客していくかといった「運営の設計」です。
ネットショップ開業届の準備が見えてきた今こそ、自社に合ったECカートシステムの資料請求やお問い合わせをして、機能・費用・サポート体制を比較しておくことで、開業後のつまずきを大きく減らせます。
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