BtoBネットショップの始め方と法人向けメリット
公開日:2026.01.20
法人取引のメリットや注意点を整理し、導入の第一歩を支援します
従来、企業間の取引は電話やFAX、訪問営業を通じて行われるのが一般的でした。しかし、近年はインターネットを活用したオンライン受発注が急速に広がり、働き方や業務効率を大きく変えつつあります。特に注目されているのが、法人向けのネットショップ、いわゆる「BtoB ネットショップ」です。
経済産業省が公表した「電子商取引に関する市場調査(2024年)」によれば、日本国内のBtoBネットショップ市場規模は約465.2兆円と、前年から10%以上増加し、BtoC市場(22.7兆円)の約20倍という圧倒的な規模に達しています。
出典:経済産業省『令和5年度 電子商取引に関する市場調査』
さらにEC化率も40%に到達し、多くの企業がデジタル取引に移行し始めていることが分かります。
こうした背景を受け、大企業だけでなく中小事業者にとっても、BtoBネットショップの導入は「取引の効率化」や「新しい顧客層の獲得」を可能にする現実的な選択肢となっています。本記事では、市場の最新動向とともに、BtoBネットショップを始めるうえでのメリット・デメリット、具体的なステップを分かりやすく解説していきます。
なぜ今、BtoBネットショップが注目されているのか
ここでは、BtoBネットショップが近年急速に広がっている理由を、市場規模の変化や企業のニーズから整理していきます。単に「オンライン化が進んでいる」という一般論ではなく、具体的な数字や事例を通じて、なぜいま事業者にとってBtoBへの取り組みが追い風になっているのかを見ていきましょう。
市場規模とEC化率の拡大
BtoBネットショップが注目を集める背景には、取引の規模そのものが急拡大していることが挙げられます。経済産業省の「電子商取引に関する市場調査(2024年)」によると、日本国内のBtoBネットショップ市場規模は465.2兆円に達し、前年から10.7%増加しました。これはBtoC市場(22.7兆円)の約20倍という巨大な規模であり、法人取引のデジタル化が一気に進んでいることが分かります。
出典:経済産業省『令和5年度 電子商取引に関する市場調査』
加えて、BtoB取引全体の中でオンライン化がどの程度進んでいるかを示す「EC化率」も40.0%に到達しました。すでに取引の約4割がネットショップを通じて行われている計算で、今後もこの割合は拡大していくと考えられます。残りの6割が従来型の受発注であることを踏まえると、まだ大きな伸びしろが存在しており、導入のタイミングとしてはまさに好機といえるでしょう
市場の成長とEC化率の上昇。この二つの要素が相まって、BtoBネットショップは「導入しなければ取り残される」という段階に入りつつあります。
業界別にも拡大
BtoBネットショップの広がりは、市場全体の拡大にとどまらず、業界ごとの導入にも波及しています。特に製造業や食品関連業界のように、取引先が多く、発注サイクルが短い分野では、ネット経由での受発注の利便性が高く評価されています。
製造業では、部品や資材の調達をオンラインで行う動きが加速し、従来の紙ベースのやり取りを大幅に効率化できるようになりました。食品業界でも、飲食店や小売店が必要な商品を迅速に仕入れるために、法人向けネットショップを利用するケースが増えています。
このように業種によって事情は異なるものの、「発注の手間を減らしたい」「在庫や納期を可視化したい」といったニーズは共通しています。結果として、法人間の取引におけるオンライン化は特定の業界に限られず、幅広い分野で“標準的な仕組み”として浸透しつつあるのです。
DX・BCP・中小事業者にも追い風
BtoBネットショップの導入が加速している背景には、市場規模の拡大だけでなく、社会的な環境変化も大きく関わっています。
近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が国を挙げて進められています。取引の電子化は、その入り口として最も取り組みやすく、売上拡大だけでなく社内業務の効率化や情報共有の円滑化につながります。とくに「2025年の崖」と呼ばれるシステム老朽化の課題が注目される中で、クラウド型の法人向けECシステムを導入することは、リスク回避と成長基盤の両立に直結します。
また、パンデミックや自然災害の経験から、事業継続計画(BCP)の観点でもオンライン化は欠かせません。取引の窓口をネットショップに移すことで、営業時間や拠点に依存せず受発注を続けられる体制を築けるのです。
さらに近年は、中小事業者にとっても導入ハードルが下がっています。以前は専用システムや多額の開発費が必要でしたが、いまはクラウドサービスを利用することで、低コストかつ短期間でBtoB向けネットショップを立ち上げられるようになりました。資金や人員に限りのある事業者にとっても、現実的な選択肢となっているのです。
こうしたDX推進、BCP強化、クラウド活用の流れが重なり、BtoBネットショップは“今こそ取り組むべき施策”として広がりを見せています。
BtoBネットショップのメリット
BtoBネットショップを導入することは、単なる取引手段のデジタル化にとどまりません。取引先との関係性や社内の業務効率、さらには事業継続や新規開拓に至るまで、幅広い効果が期待できます。ここでは代表的なメリットを整理し、どのように事業へプラスになるのかを見ていきましょう。
24時間受注で営業ロス防止
従来の電話やFAXによる取引では、営業時間外は発注を受け付けられず、担当者が不在の時間は機会損失となっていました。ネットショップであれば24時間いつでも受注可能なため、取引先は都合の良い時間に注文でき、販売側は受注を逃す心配がなくなります。とくに飲食店や小売店など不規則な発注が多い業種では、大きな安心感と利便性につながります。
業務効率化と人的ミスの削減
電話やFAXでの受注では、注文内容の聞き間違いや入力ミスといった人為的なトラブルが発生しがちです。BtoBネットショップを利用すれば、注文情報は自動的にデータ化され、在庫や金額もシステム上で正確に管理できます。これにより、ヒューマンエラーが減るだけでなく、担当者の工数を別の業務に割けるようになり、全体的な業務効率の改善が期待できます。
売上拡大のチャンス
BtoBネットショップは、単なる受注窓口ではなく「売上を伸ばす仕組み」としても機能します。例えば定期注文の仕組みを用意すれば、安定的な売上を確保できます。また、従来の営業網ではカバーできなかった地域や業種の法人とも新たに接点を持つことができ、新規顧客の獲得にもつながります。ネット上での露出が増えることで、既存顧客以外からの問い合わせが入る可能性も高まります。
事業継続計画にも強い体制づくり
地震や豪雨、パンデミックなど、予測できない事態が発生した場合でも、BtoBネットショップがあれば事業の停止リスクを最小限に抑えることができます。取引先はオンライン上で注文を完結できるため、オフィスや営業所が一時的に機能しなくなっても受注が継続可能です。これは事業継続計画の観点からも大きな強みとなります。
DX推進と社内改革の動機づけ
BtoBネットショップの導入は、社内のデジタル化を推進するきっかけにもなります。発注・受注の自動化にとどまらず、在庫管理や請求処理などの関連業務を見直す動機となり、結果として全体のDX推進につながります。小さな改善から始めることで社内のデジタル対応力が養われ、長期的な競争力強化にも寄与します。
BtoBネットショップのデメリット
BtoBネットショップには多くの利点がありますが、同時に注意すべき点もあります。導入前にリスクや課題を把握しておくことで、効果的な対策を講じ、スムーズな運用につなげることができます。ここでは代表的なデメリットとその解決策を紹介します。
未回収のリスク
法人間取引では請求書払いが一般的であり、代金が期日までに入金されない、いわゆる未回収リスクが発生することがあります。これを防ぐには、与信管理をシステム化したり、前払い・クレジットカード決済などの選択肢を併用したりすることが有効です。最近では、後払い保証サービスを活用してリスクを外部に移す方法も普及しています。
機能が複雑・承認フローが必要
BtoB取引では、単純なカート決済だけでなく「見積書の発行」「上長の承認」「取引先ごとの価格設定」といった複雑な要件が発生します。これらをすべて自社開発で賄うのは大きな負担ですが、法人向けに特化したクラウド型ECシステムを利用すれば、標準機能として備わっている場合が多く、スムーズに対応可能です。
営業担当との関係性が薄れる懸念
従来は営業担当者が訪問や電話で信頼関係を築いてきましたが、ネットショップを介すことで「人とのつながりが弱まるのでは」と懸念する声もあります。これに対しては、ネットショップを注文窓口として活用しつつ、フォローや提案活動は営業担当が行う「ハイブリッド型運用」にすることで、効率性と人間関係の両立が可能です。
基幹システムとの連携負担
受発注や在庫、会計などの基幹システムとネットショップを連携させるには、初期の設計や運用コストがかかります。しかし、近年はAPIや標準連携機能を備えたサービスも増えており、外部システムとの連携が容易になっています。導入前に必要な機能を明確にし、適したシステムを選ぶことが重要です。
社内業務体制の見直しが必要
ネットショップを導入すると、受発注や在庫管理の流れが従来と大きく変わります。そのため、社内フローや担当者の役割を見直さなければなりません。一度に大規模な変更を行うのではなく、まずは限定的な商品や取引先からテスト運用を始め、徐々に社内に浸透させていくと混乱を防げます。
よくある疑問Q&A
BtoBネットショップの導入を検討する際、実際に運営する立場からは多くの疑問が浮かびます。ここでは、よくある質問を取り上げ、分かりやすく答えていきます。
Q. BtoBと法人の違いは?
「BtoB」とは「Business to Business」の略で、企業同士の取引を意味します。一方「法人」という言葉は、会社や組合など法律上の組織を指します。つまり法人を対象にした販売=BtoB取引と考えて差し支えありません。
Q. BtoBとBtoCの違いは?
「BtoC」は「Business to Consumer」の略で、一般消費者に向けた販売を指します。BtoBでは法人が相手となるため、購入数量が多く、請求書払いなど支払方法も異なる点が特徴です。BtoCのように少額・単発の購入よりも、継続的で大口の取引が中心となります。
Q. 既にBtoC出店していても可能?
すでに個人向けネットショップを運営している場合でも、法人向けの取引を追加することは十分に可能です。同じショップ内で法人専用のページや価格設定を設ける方法もあれば、別のサイトやカートを用意して区別する方法もあります。取引の規模や顧客層に合わせて選択するとよいでしょう。
Q. BtoB向け商材の例とは?
BtoBに向いているのは、法人や事業者が日常的に利用する商品です。たとえば消耗品、原材料、業務用の食品・飲料、オフィス用品や資材などです。定期的な発注が想定される商品は、BtoBネットショップとの相性が特に良いといえます。
Q. 必要な申請や知識はある?
基本的にBtoCと同様、販売する商品の業種に応じて必要な許認可を取得していれば問題ありません。食品や医薬品、化粧品などは所管官庁の許可が必要になる場合があるため、事前に確認が必要です。新たに「BtoBだから特別な申請が必要」ということはありません。
Q. 既にあるネットショップでBtoBをやっていい?
法人と個人の両方に販売する場合、同じサイトで運営するケースと、別々に分けるケースがあります。法人向けでは「会員専用ページ」や「ログイン後に表示される法人価格」などの仕組みを設けるのが一般的です。誤注文を防ぐためにも、顧客層に合わせた構成を検討しましょう。
Q. BtoBならではの注意点は?
法人取引では、請求書払い・掛け払いといった決済方法のニーズが高いのが特徴です。また、一度に大量の商品を発送するケースも多いため、物流面での対応力も求められます。さらに、取引先ごとに異なる価格設定や承認フローが必要になる場合もあるため、これらに対応できる仕組みを整えておくことが重要です。
BtoBネットショップの始め方
BtoBネットショップを始めるといっても、最初から完璧な仕組みを整える必要はありません。小さな一歩を踏み出し、段階的に整備していくことでスムーズに導入できます。ここでは、立ち上げに必要な基本の流れを紹介します。
1. 目的の明確化
まずは「誰に、何を、どう売りたいのか」を整理することが出発点です。たとえば「既存の法人顧客に、より便利に注文してもらいたい」のか、「新規の法人顧客を開拓したい」のかによって、必要な機能や運営の仕方が変わってきます。社内で目的を共有し、方向性を定めることが重要です。
2. システム選び
BtoBネットショップを構築する方法はいくつかあります。
- ASP(クラウド型):初期費用を抑え、短期間で始めたい事業者に向いています。
- パッケージ型:一定のカスタマイズが必要な場合に有効です。
- オープンソース:自由度が高い反面、技術的な知識が求められます。
- フルスクラッチ:完全オリジナルで開発する方法ですが、時間とコストは最もかかります。
自社のリソースや目標に合わせて選定することが、成功への近道です。
3. 必要機能の整理
BtoB特有の機能として「会員専用ページ」「取引先ごとの価格設定」「見積書発行」「請求書払い対応」などがあります。すべてを一度に導入する必要はありませんが、優先順位を決めて段階的に実装していくと無理なく運用できます。
4. 自社構築か外注か
システム構築を自社で行うか、外部に委託するかも大きな判断ポイントです。社内に専門知識がない場合は、外部の制作会社やシステムベンダーに依頼するのが安心です。一方で、自社運用に慣れている場合やスモールスタートで試す場合は、クラウドサービスを使って自力で構築する方法も現実的です。
5. テスト・改善の流れ
導入した直後から完璧に回ることは少なく、運用しながら改善を繰り返すことが大切です。最初は一部の顧客に利用してもらい、使い勝手や要望を聞きながら機能を調整していきましょう。テスト運用の段階を経ることで、大きなトラブルを避けながら本格稼働へと進めます。
BtoB市場の追い風を味方に、次の一歩を踏み出そう
ここまで見てきたように、BtoBネットショップは単なる取引のオンライン化にとどまらず、効率化・売上拡大・リスク対策といった幅広いメリットをもたらします。
すでにBtoC向けのネットショップを展開している事業者にとっても、BtoBを加えることは新しい販路拡大のチャンスです。定期的に購入してくれる法人顧客を獲得できれば、安定的な売上基盤の構築につながります。逆に、この流れに対応できなければ、顧客から「便利な仕組みを用意している競合」へ取引が移ってしまう可能性も否めません。
BtoB市場は拡大を続けており、特に中小事業者にとっては今が参入の好機です。取引の効率化や顧客対応の改善はもちろん、社内の業務をデジタル化して効率を上げる取り組み(DX)や事業継続計画(BCP)といった経営課題の解決にも直結します。
そして、BtoBネットショップをスムーズに始めたい事業者にとって頼れる選択肢が Eストアーショップサーブ です。BtoBに必要な機能を標準で備え、クラウド型だからこそ初期投資を抑えて短期間での導入が可能です。
BtoB市場の追い風を味方に、次の一歩を踏み出すタイミングはまさに今。
ぜひEストアーショップサーブにご相談いただき、貴社のBtoBネットショップ立ち上げを成功に導きましょう。