ネットショップのコンバージョンを改善したい方へ。フォーム一体型LPについてわかりやすく解説します。
「LPを作ったのに、なかなか成果が出ない…」その原因の1つがページ遷移による離脱にあります。
せっかくLPを読んで関心を持ったユーザーも、問い合わせや申込みフォームへ移動する時点で離脱してしまうことが少なくありません。
そこで注目したいのが、フォーム一体型LP(LP一体型フォーム)です。
本記事では、フォーム一体型LPの基本からメリット・注意点、導入のコツまでをわかりやすく解説します。
フォーム一体型LPとは
まず前提としてLP(ランディングページ)とは、特定の目的(資料請求・購入・会員登録など)に特化した1枚構成のWebページのことです。
ユーザーがWeb広告や検索結果を経由して最初に訪れるページで、通常のWebサイトのようにナビゲーションやメニューがなく、1ページ内で訴求・説得・コンバージョンまで完結させる構造が特徴です。
通常、LPには「お申し込みはこちら」などのボタンがあり、それをクリックすると別の入力フォーム専用ページに遷移します。しかし、遷移するタイミングで離脱してしまうユーザーが多いという課題があります。
この課題を解決するのが、「フォーム一体型LP」です。
LP本文内に入力フォームを直接埋め込むことで、ユーザーが遷移せずにその場で申し込める構造になっています。

フォーム一体型LPの特徴
- 訴求と申し込みを1ページに集約している
- 離脱ポイントを減らしてCV(コンバージョン)率を改善できる
- ファーストビュー(ページの最初)からフォームが見える場合もある
このように、ユーザーの行動心理に合わせた導線設計を行えるのが、フォーム一体型LPの大きな特徴です。
LPの種類
LP(ランディングページ)と一口に言っても、目的や利用シーンによっていくつかの種類があります。
「商品を売るためのLP」「資料請求や問い合わせを獲得するためのLP」など、求める成果によって設計が異なるのが特徴です。
| タイプ | 概要 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 商品販売型 | 商品の魅力を訴求し、購入へ誘導 | 健康食品、化粧品、単品通販 |
| リード獲得型 | 情報提供・体験申込みなどで見込み客獲得 | 資料請求、セミナー申込み |
| LINE登録型 | LINE公式アカウントへの登録誘導 | D2C、EC、サブスク事業 |
| フォーム一体型 | ページ内にフォームを埋め込み、即アクション誘導 | 資料請求、定期購入、無料体験 |
フォーム一体型LP4つの導入メリット
フォーム一体型LPには、成果につながる明確なメリットが4つあります。
1. 離脱率を低減できる
通常のLPでは、情報を見る⇒お申込みや購入などのボタンを押す⇒入力フォームへ遷移⇒入力という流れの中に2回の離脱ポイントがあります。
フォーム一体型であれば、このステップが短縮されるため離脱率が低下し、コンバージョンにつながりやすくなります。
2. ユーザーの「その場の気持ち」を逃さない
ユーザーはLPの内容や情報を通して感情が動いた、「今すぐ申し込みたい!」というタイミングがコンバージョンのピークです。その感情が冷める前に入力フォームが視界にあることで、スムーズな行動へ移行できるのです。
3. スマホユーザーに適している
モバイルでの閲覧が主流となった今、ページ遷移は心理的にも物理的にも負担になります。フォーム一体型LPは、スマホで完結しやすいUX(ユーザー体験)を提供できる点でもメリットがあると言えます。
4. シンプルな広告運用との相性が良い
広告媒体(Google広告・SNS広告)との連携では、1ページ完結の方が広告の品質スコアや顧客満足度が高まりやすいため、クリック単価(CPC)の抑制や配信効率の向上にも寄与します。
フォーム一体型LP3つのデメリット・注意点
フォーム一体型LPはコンバージョン率向上に効果的な手法ではありますが、すべての状況において万能というわけではありません。
適切な設計や運用を行わないと、むしろ離脱率の増加や信頼性の低下につながるリスクもあります。
1.ファーストビューにフォームがあると警戒されやすい
フォーム一体型LPでは、ファーストビュー(ページの最初の画面)に申込みフォームを置くケースもありますが、ユーザーがページを開いた瞬間に入力を求められると、心理的な抵抗感を生むことがあります。
- 特に情報収集段階のユーザーにとっては「いきなり売り込まれた」と感じやすい
- 商品やサービスへの信頼形成ができていない状態でフォームが目に入ると、離脱の原因になりやすい
対策として、ファーストビューにはCTAボタンを置き、中盤以降にフォームを設置したり、STEP式や2段階フォームなどで心理的ハードルを下げたりする工夫が必要です。
2.情報量が多い商材では、1ページで伝えきれないことがある
フォーム一体型LPは1ページ完結型であるため、情報設計に限界があります。
- 高額商品や導入プロセスが複雑なサービスでは、説明・信頼性が不足するリスクがある
- ユーザーが自分の課題に合っているか判断しきれず、離脱につながる可能性がある
対策として、LPとは別に詳細説明ページやFAQへのリンクを用意したり、フォーム自体を「問い合わせ」にとどめ、無理にコンバージョンを促さない設計にしたりする方法があります。
3.フォーム設計のミスがコンバージョン率の低下につながる
フォームがLPと一体であるということは、フォームの設計・使い勝手がそのままコンバージョン率を左右することを意味します。
- 入力項目が多すぎる
- スマホで操作しづらい
- 必須項目の案内やエラー表示がわかりにくい
これらによって、離脱や入力ミスによる機会損失が増加してしまいます。
対策として、入力項目を必要最低限に絞ることやEFO(エントリーフォーム最適化)ツールの導入、UXを意識したUI設計が必要になってきます。
フォーム一体型LPの導入は、目的・ペルソナ・導線をきちんと設計することが成功のカギです。
構成と設計4つのポイント
ここからは、「LPを作っても成果が出ない…」という悩みに応える具体的な改善ポイントを解説します。
1.CTA(Call To Action)をページ内に複数設置する
よくある失敗:1ページの最下部にしか申込みボタン(CTA)がない
改善点:
- ファーストビュー(最上部)にフォーム or CTAボタン
- コンテンツの合間(中盤)にもう一度CTA
- ページ最下部(クロージング)に最終CTA
ポイントは、ユーザーはページ内すべてを読むとは限らないため、興味を持ったタイミングで行動できる余地を作ることです。
2.入力フォームの項目数を最小限にする
よくある失敗:10項目以上ある長いフォーム
改善点:
- 初回申込みや資料請求は、名前・メール・電話番号など最低限必要な項目に絞る
- 不足情報は申し込み後にヒアリングやステップメールで補完する
入力が面倒、時間がかかると感じるような入力項目だと離脱率が高まってしまうため注意しましょう。
3.ページ構成は「共感⇒解決策⇒信頼⇒行動」の流れにする
重要なのは、ユーザーの感情や行動心理に沿った情報の流れを作ることです。
特に効果的とされているのが、「共感⇒解決策⇒信頼⇒行動」という構成です。これは、「自分の悩みに気づく⇒解決手段を知る⇒信頼して任せられると感じる⇒行動に移す」という、ユーザーの意思決定プロセスに基づいた順序であり、多くのコンバージョン率が高いLPで実践されています。
| セクション | 目的 |
|---|---|
| ファーストビュー | 興味喚起+CTA設置 |
| 共感要素 | 「こんなお悩みありませんか?」と問題提起 |
| 解決策の提示 | 商品・サービスで悩みをどう解決できるかを紹介 |
| メリット | ベネフィットと特徴の明確化 |
| 信頼獲得要素 | お客様の声・事例・実績など |
| CTA+フォーム | 申込みアクション |
4.スマホでの読みやすさや入力のしやすさを最優先する
改善点:
- 文字サイズ・行間の調整(スマホで見た時にストレスがないか)
- ボタンの大きさ・配置(親指で押しやすいか)
- 自動入力サポート(郵便番号から住所入力、電話番号フォーマットなど)
モバイルユーザーのUXを高めることが、直帰率とフォーム離脱率の低減につながります。
6つの導入ステップと運用のコツ
フォーム一体型LPを成功させるには、設計・制作・運用すべての段階で戦略的なアプローチが必要です。
ただ作って公開するだけでは、思うような成果は得られません。
ここでは、実際にフォーム一体型LPを導入する際の基本ステップと、成果につなげるための運用のコツをご紹介します。
- STEP1
- ゴール(目的)とKPIの明確化
- STEP2
- ペルソナ設計・訴求メッセージの整理
- STEP3
- LPの構成設計・原稿作成
- STEP4
- フォーム設計と実装
- STEP5
- 公開と効果測定(ABテスト・ヒートマップ分析)
- STEP6
- 定期的な見直し・改善
STEP1.ゴール(目的)とKPIの明確化
まずは、「このLPで何を達成したいのか」を明確にしましょう。目的が曖昧だと、構成やフォーム内容もブレてしまいます。
- ゴールの例:資料請求件数を月100件、定期購入を30件獲得する
- KPIの例:コンバージョン率3%以上、フォーム完了率60%以上など
具体的な数値目標を設定しておくことで、改善の指針が見えやすくなります。
STEP2.ペルソナ設計・訴求メッセージの整理
そして、「誰に届けるLPなのか」を明確にすることも重要です。
ターゲットの課題や不安を具体的に想定することで、「共感」や「解決策」が刺さりやすくなります。
- ペルソナ例:35歳女性/健康に関心がある/継続できるか不安に感じている
- 訴求例:「飲み忘れゼロへ。リマインド付き定期便で、ラクして続く健康生活。」
⇒具体的な機能・仕組みを伝えることで、不安やハードルを下げる
STEP3.LPの構成設計・原稿作成
「共感⇒解決策⇒信頼⇒行動」の流れをもとに、ページ構成を設計します。
必要な要素を洗い出し、コピーライティングや画像設計も行います。
- セクション構成をブロック単位で設計(例:ファーストビュー/悩み/商品紹介/お客様の声/フォーム)
- 訴求力の高い見出し・箇条書き・図解の活用
STEP4.フォーム設計と実装
フォーム一体型LPにする場合、入力項目の設計がコンバージョン率に大きく影響します。
- 必要最低限の項目に絞る(例:名前・電話・メールなど)
- EFO(エントリーフォームの最適化)対策をする(自動補完・入力エラー表示・郵便番号で住所入力など)
- フォームツールやカートシステムを活用する
STEP5.公開と効果測定(ABテスト・ヒートマップ分析)
公開後は必ず効果測定を行い、改善を重ねましょう。
- ヒートマップで離脱箇所・注目箇所を分析
- ABテストで「見出し」「ボタン文言」「フォーム位置」などを検証
- Googleアナリティクス(GA4)や広告管理画面でCVR(コンバージョン率)やCPA(顧客獲得単価)をチェック
STEP6.定期的な見直し・改善
LPは作って終わりではなく“育てていく”ものです。
- 月次でのコンバージョンチェックと施策の見直し
- フォーム入力率や離脱率から改善ポイントの洗い出し
- 口コミやユーザーレビューを新たに追加
制作や分析にリソースを割けない場合は、LP制作会社や広告運用代行、EFOツールの活用も検討しましょう。
特にコンバージョン改善を得意とする制作会社では、フォーム一体型LPに特化したテンプレートやノウハウを持っている場合もあります。
フォーム一体型LPに向いている商材・向いていない商材
フォーム一体型LPは、すべての商材やサービスに最適な手法というわけではありません。
効果が出やすいケースと、別のアプローチが適しているケースがあるため、導入前に商材の特性やユーザー行動をよく見極めることが重要です。
向いている商材・サービス
まずは、フォーム一体型LPに向いている商材・サービスの特徴について整理していきます。
■向いている商材・サービスの特徴
- 単価が低い、もしくは手軽に試しやすい価格帯である
- 導入・購入がシンプルで、すぐに始められる
- 利用前に複雑な比較や検討をあまり必要としない
- 「今すぐ申し込みたい」と思わせる訴求がしやすい
■商材・サービス例
- 健康食品・化粧品などの単品通販商材(D2C)
- 無料体験・モニター募集
- 資料請求やメルマガ、LINE登録などハードルの低いアクション
- ネットショップの定期購入商品
■なぜ向いているのか
これらの商材やサービスは、「まずは試してみよう」「手軽に始めたい」という心理が働きやすいため、余計なステップがないフォーム一体型の構成がコンバージョンを後押ししやすいです。
また、初めての商品で不安を感じるユーザーに対しても、信頼性や手軽さを感じさせる設計ができれば、行動につながりやすくなります。
向いていない商材・サービス
次に、フォーム一体型LPに向いていない商材・サービスの特徴について解説していきます。
■向いていない商材・サービスの特徴
- 比較検討・導入相談・カスタマイズなどが必要
- 検討期間が長く、1ページでは説得材料が足りない
- ユーザーの不安を丁寧に解消するための情報量が多い
■商材・サービス例
- 不動産・住宅・高級自動車などの高額商品
- BtoBの大型システムや機械設備
- カスタマイズが必要なコンサルティングサービス
- 法律・医療など、専門的かつ慎重な意思決定を求める領域
■なぜ向いていないのか
これらの商材やサービスは、ユーザーが比較・検討・相談を重ねたうえで意思決定する傾向があるため、フォーム一体型のように1ページで完結させようとすると、情報が足りず逆に不安や不信感を与えてしまう可能性があります。
かえって、複数ページに分けて詳しく情報を伝えたり、問い合わせフォームやチャットなどでじっくり相談できたりする導線を作る方が効果的です。
| チェック項目 | フォーム一体型LPが適している? |
|---|---|
| 価格帯が手頃か | ◎Yes (試しやすい) |
| 決断に時間がかからないか | ◎Yes (衝動買い・即決型) |
| ページ内で判断材料が揃うか | ◎Yes (情報量が適切) |
| 導入・購入がシンプルか | ◎Yes (迷いが少ない) |
逆に、高単価で複雑な商材は「導線設計」と「情報設計」を丁寧に分けたLP構成が適しています。
まとめ
「LP(ランディングページ)を作ってみたものの、なかなか申込みや購入につながらない…」そんな課題を感じている方にとって、フォーム一体型LPは見直すべき施策の1つです。
1ページでユーザーの興味を引き、信頼を得て、そのまま行動(コンバージョン)につなげるこの仕組みは、買いたい気持ちを逃さない導線づくりとして非常に効果的です。
特にネットショップ運営においては、新規顧客の獲得や定期購入の促進、LINE登録の誘導など、あらゆるシーンで活用できるのが強みです。
「集客できても離脱が多い」「カート投入率はあるが購入に至らない」ーーそんな状況に悩むEC事業者にとってコンバージョン改善の一手となるはずです。
Eストアーショップサーブでは、そのようなお悩みや課題を抱えているEC担当者様からのご相談を受け付けています。
300以上の標準機能を搭載しているECカートシステムとして、これまで26年間、D2Cを専門にECサイト構築をサポートしてきました。
様々な業界の企業様を支援してきた実績があり、多くのノウハウを持っていることが特徴です。
LP制作に関するご相談だけでなく、EC運営の戦略や施策立案、コンサルティング、他社カートからの乗り換えサポートなど幅広く対応いたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。