モバイルデバイスの普及がEC業界にもたらす影響について
近年、EC市場においてモバイルデバイスの普及が急速に進んでいます。
総務省「通信利用動向調査」によると、2022年のインターネット利用率(個人)は84.9%となっており、端末別のインターネット利用率(個人)はスマートフォンが71.2%、パソコンが48.5%という結果になっています。
スマートフォンやタブレットの普及率が高まる中、ユーザーがいつでもどこでも商品を購入できる環境が整いつつあります。この変化は、ユーザーの購買行動やECサイト運営者にとっても大きな影響を与えています。
スマートフォンの利用拡大
では、モバイルデバイスの普及がECサイトの運営にどのような影響を与えているのでしょうか。
スマートフォンでのインターネット利用率の増加は、オンラインショッピングの主要なデバイスとして定着していることを表しています。従来のデスクトップやノートパソコンを利用する方も依然として存在しますが、スマートフォン経由でのECサイトアクセスは年々増加しており、多くのユーザーがスマートフォンを使って商品を検索し、購入しています。
モバイルファースト戦略の重要性
モバイルファースト戦略とは、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスでの使用を最優先に考え、ウェブサイトやアプリの設計を行う手法です。これは、デスクトップPCよりもモバイルデバイスを主に使用するユーザーが増加している現在のトレンドに対応するため、企業にとって重要な取り組みです。ここでは、具体的な項目ごとにモバイルファースト戦略の重要性を詳しく説明します。
使いやすさを意識したレスポンシブデザインの採用
画面サイズに応じてウェブサイトのレイアウトやコンテンツが動的に変化するデザイン手法です。スマートフォンやタブレットでは、デスクトップと比べて画面が小さく、指で操作する必要があります。そのため、モバイルユーザー向けのシンプルで直感的なUI(ユーザーインターフェース)がカギとなります。
例えば、モバイルユーザーが小さな画面でも商品画像を拡大せずに閲覧でき、ボタンやリンクを押しやすい大きさ・位置にすることで操作のストレスを減らします。また、ナビゲーションメニューもモバイル向けに再設計し、指で操作しやすいドロップダウン形式やシンプルなアイコンを使うなどの工夫が大事になってきます。
モバイルファースト戦略では、単にページを縮小するのではなく、モバイル端末の特性に合わせてレイアウトを再構築することがポイントです。
※UIについて詳しく知りたい方は以下の記事をご確認ください
快適なネットショッピングの実現に必要不可欠なUI/UX
ストレスを減らすページの読み込み速度の改善
モバイルデバイスでは、通信環境がデスクトップよりも不安定で遅いことが多いため、ページの読み込み速度が重要です。特にモバイルユーザーは、ページが表示されるまでに3秒以上かかると離脱する傾向があります。そのため、ページの軽量化や画像の圧縮、キャッシュの活用、不要なスクリプトの削除が求められます。
読み込み速度の改善は、SEO(検索エンジン最適化)にも関係しています。Googleは、サイトの読み込み速度をランキング要因として考慮しているため、ページが速く表示されるサイトは検索結果で上位に表示される可能性が高くなります。
Googleからの評価というよりも、ユーザーが快適に利用できるページこそが支持されるということを覚えておきましょう。
様々なモバイル特化型広告の活用
モバイルファースト戦略の1つとして、モバイル特化型広告も注目すべき要素となります。モバイル広告は、ユーザーのデバイスや行動パターンに合わせた形式で提供され、デスクトップ向けの広告とは異なるアプローチが求められます。
例えば、インフィード広告やインタースティシャル広告など、ユーザーが自然に目にする場所に表示される広告フォーマットを活用することで、広告の煩わしさを感じさせることなくユーザーの関心を引きやすくなります。また、動画広告もモバイルで効果的に使われており、短くてインパクトのある内容が好まれます。
さらに、モバイルではユーザーの位置情報やアプリの利用履歴を活用したターゲティング広告も可能です。ユーザーの動向が分かることで広告の効果を最大化し、より高いコンバージョン率を達成することができます。
シームレスな決済プロセスの実現
モバイルユーザーは、PCに比べて操作を簡単に行いたい傾向が強いため、決済プロセスのシンプルさがECサイト成功のカギを握ります。複雑な入力や手間がかかる操作があると、カゴ落ちにも影響してしまいます。
例えば、ECサイトにおいては、ワンクリック決済や自動入力機能を導入することで購入プロセスを短縮し、ユーザーの負担を減らします。また、Apple PayやGoogle Payといったモバイルウォレットとの連携を強化することで、ユーザーはパスワードやクレジットカード情報を入力する手間なく、スムーズな決済を実現できます。
※シームレスな決済プロセスの重要性について詳しく知りたい方はこちら
サイト離脱を防ぐ!多様な決済方法
※カゴ落ちについて詳しく知りたい方はこちら
カゴ落ちメールをやらない理由はない!
プッシュ通知によるサイトへの再訪促進
モバイルデバイスの強みとして、プッシュ通知を活用した再訪促進があります。これは、モバイルユーザーに直接通知を送ることで、プロモーションやキャンペーン情報、カートに残っている商品をリマインドする手段です。
例えば、特定の商品がセールになるタイミングでプッシュ通知を送ることで、ユーザーがすぐにアプリを開いて購入できるようにします。こうした通知は、タイムリーに情報を提供することでサイトへの再訪やコンバージョン率を高めます。
パーソナライズされたメッセージを送ることで、ユーザーにとって関連性の高い情報を提供し、エンゲージメントを向上させることにも繋がります。
モバイルデバイスの普及によるユーザーの行動変容
モバイルデバイスの普及に伴い、ユーザーの行動は大きく変わっています。スマートフォンやタブレットは、単に商品を閲覧する手段ではなく、購入までの意思決定や行動全体に影響を与える重要なツールです。
瞬間的な情報収集と意思決定
モバイルデバイスは、いつでもどこでも商品やサービスを検索できるため、ユーザーは即座に情報を得て、すぐに意思決定を行うようになっています。これを指してマイクロモーメントという概念が広まりました。ユーザーは「知りたい」「行きたい」「買いたい」「やりたい」といった瞬間的な欲求を満たすために、短時間で検索・閲覧し、行動に移します。
例えば、ユーザーが電車の中や休憩時間にスマートフォンで商品レビューを確認し、その場で購入を決断するケースが増えています。これにより、企業は短時間でユーザーに必要な情報を的確に届けることが求められています。
ユーザーがどこにいても素早く情報を得られる環境が整ったことで、購買サイクルが短縮され、行動が迅速化しています。
積極的なモバイルショッピングの利用
モバイルを使ってのショッピングは、デスクトップに比べて手軽で便利です。スマートフォンでは、短時間で商品を検索し、ワンクリックで購入まで完了できるため、ユーザーは手間をかけずにショッピングを楽しむことができます。また、電車やバス、カフェなど、時間や場所に縛られずに購入行できることが大きな特徴です。
ソーシャルメディアの影響力
モバイルユーザーの多くが日常的にソーシャルメディアを利用しています。FacebookやInstagram、X、TikTokといったプラットフォームは、単なる情報共有の場だけでなく、商品を見つけたり購入したりするきっかけとして重要な役割を果たしています。
特に、インフルエンサーの投稿や、友人・知人による口コミが購入意欲を高めます。例えば、Instagramで気になるファッションアイテムがタグ付けされている投稿を見たユーザーは、そのままアプリ内で商品ページにアクセスして購入することができます。
また、企業も積極的にソーシャルメディアを活用し、キャンペーンやプロモーションを行っています。Instagramのショッピング機能やTikTokの動画広告を使うことで、ユーザーが気軽に商品を発見・購入できるようになっていることが1つの例です。
身近になったオムニチャネル体験
モバイルデバイスが普及する中で、ユーザーはオムニチャネル体験をより身近に感じるようになっています。オムニチャネルとは、オンラインとオフライン(実店舗)をシームレスに連携させたショッピング体験のことです。ユーザーは、デバイスやチャネルをまたいだ一貫した購買体験を期待しています。
例えば、モバイルで商品をチェックして店舗で実際に試着し、その場でオンライン注文するという行動パターンが増えています。また、クリック&コレクト(オンラインで購入して店舗で受け取る)や、店舗在庫の確認などもモバイルを通じて行われるケースが多くなっています。
オンラインとオフラインを融合させたオムニチャネル戦略は、ユーザーの利便性を高め、満足度を向上させます。
※オムニチャネルの関連記事はこちら
オムニチャネルの実際
まとめ
モバイルファースト戦略やモバイルデバイスの普及によるユーザーの行動変容について解説してきましたが、これらは現在のユーザーニーズに対応するために欠かせない要素です。モバイルに最適化されたデザインや広告、決済プロセスの簡略化など、各項目における改善がユーザー体験を向上させ、最終的にはコンバージョン率の向上にも発展します。企業はモバイルファーストの視点で、より快適でスムーズなユーザー体験を提供することが必要不可欠です。
ユーザーは短時間で瞬間的に決断し、購入に至るケースが増えています。特に、モバイルの利便性やソーシャルメディアの影響力、オムニチャネル体験がユーザー行動を大きく変えている要因です。企業はこれらの変化に対応し、モバイルファーストの戦略を採用してユーザーに寄り添った体験を提供することが重要です。
ぜひこの機会に、自社ECサイトにおけるモバイルファーストの実現性の見直しをしてみてください。
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