消費者の信頼獲得に繋がるUGCとは?
  • マーケティング

最終更新日:2025.10.17

消費者の信頼獲得に繋がるUGCとは?

UGCの活用方法とメリット・デメリット

現代のデジタルマーケティングにおいて、user generated content、通称「UGC」は、企業の成長と顧客との関係構築において、かつてないほど重要性を増しています。UGCとは、その名の通り、企業やブランドではなく、一般のユーザー(消費者)によって自発的に生成されたコンテンツ全般を指します。具体的には、SNSへの投稿、商品レビュー、個人のブログ記事、写真、動画、口コミサイトへのコメントなどがこれに該当します。これらは、企業が費用をかけて作る広告とは一線を画し、消費者自身のリアルな経験や声が反映されているという特徴を持ちます。

スマートフォンの普及により、誰もが簡単に情報発信者となれる時代が到来しました。消費者はもはや、企業からの一方的な情報を受動的に受け取るだけの存在ではありません。自ら情報を探し、比較検討し、そして自身の経験をオンライン上で共有します。この購買行動の変化こそ、UGCが注目されるようになった大きな背景です。2024年、そして2025年へと向かう次の時代において、消費者は企業が発信する広告よりも、自分と同じ視点を持つ他の個人の声を重視する傾向がますます強まっています。

調査によれば、多くの消費者が購買を決定する前に、必ずと言っていいほどレビューや口コミを確認すると言われています。このプロセスにおいて、UGCは友人からのアドバイスに近い親近感と信頼性を持ち、消費者の最終的な意思決定を強力に後押しするのです。

本記事では、この強力なマーケティング手段であるUGCについて、その定義や種類といった基礎知識から、具体的な活用戦略、メリット・デメリット、さらには法的な注意点までを徹底的に解説します。UGCをうまく活用し、ユーザーとの強固なつながりを構築することで、いかにして企業の価値を上げ、ビジネスを成長させることができるのか。そのためのヒントとノウハウを詳しくお届けします。

UGC活用方法

UGCを効果的にビジネスに活かすためには、多様な手法を理解し、自社の目的や商材に合わせて戦略的に展開することが不可欠です。ここでは、代表的な4つの活用方法を具体的な実践ポイントと共に深く掘り下げていきます。

1. 商品レビューの活用

ネットショップにおける最も代表的で、コンバージョンに直接 つながるUGCが「商品レビュー」です。ユーザーが商品を使用したリアルな感想を投稿することで、他の消費者がその商品の良さや使い勝手、注意すべき点などを具体的に知ることができます。

具体例

オンラインでコスメを購入する場合、商品ページに他のユーザーが投稿したレビューが掲載されていると、購入の重要な検討材料になります。「敏感肌でも問題なく使えた」「使用後に肌がしっとりした」といった具体的な感想が書かれていることで、購買を迷っている消費者の疑問や不安が解消され、購入を後押しします。特に、自分と同じ肌質や悩みを持つ人のレビューは、非常に高く評価されます。

活用戦略のポイント

  • レビュー投稿を促す仕組みの構築
    多くのユーザーは、何らかのきっかけがなければレビューを投稿しません。購入後のフォローメールでレビュー投稿を依頼したり、「レビュー投稿で次回使える10%OFFクーポンをプレゼント」といったインセンティブを用意したりすることで、投稿率を上げることができます。このプロセスを自動化するツールも多く 存在します。
  • 効果的なレビューの表示方法
    集まったレビューは、ただ表示するだけでは不十分です。商品ページの上部やLPの目立つ位置に星評価の平均とレビュー件数を表示し、社会的証明を訴求します。良い評価だけでなく、あえて厳しい意見も公開し、それに対して企業として真摯に回答する姿勢を見せることで、逆に信頼性を高めることが可能です。デザイン面でも、レビューが閲覧しやすいレイアウトを工夫することが重要です。
  • 法的注意点(薬機法など)
    特にコスメや健康食品などの商材を扱う場合、レビュー内容には細心の注意が必要です。医薬品的な効果効能を謳う表現(例:「シミが消えた」「病気が治った」)が含まれている場合、薬機法(旧薬事法)に抵触する可能性があります。定期的にレビュー内容をチェックし、問題のある表現は非表示にするなどの対応が必ず必要です。

2. SNSでのシェアや投稿

X(旧Twitter)、Instagram、Facebook、TikTokといったソーシャルメディア(Social Media)は、UGCを生成し、拡散させるための強力なプラットフォームです。企業がハッシュタグを設定し、ユーザーに商品の使用感をSNSでシェアしてもらうことで、自然な形で商品の認知拡大が期待できます。

具体例

ファッションブランドが「#MyStyleWith〇〇(ブランド名)」といったハッシュタグを使って、ユーザーが購入したアイテムをSNSに投稿する企画を実施します。ユーザーが自分のコーディネート写真をSNSでシェアすることで、そのフォロワーが商品を見て興味を持ち、ネットショップへの誘導が増加します。また、投稿された魅力的な写真を企業側の公式 アカウントでリポスト(再投稿)すれば、ユーザーとのコミュニケーションが生まれ、ブランドの信頼性が高まり、さらなる認知拡大につながるのです。

SNSのユーザー投稿の活用例

活用戦略のポイント

  • ハッシュタグキャンペーンの設計と実践
    「#(ブランド名)のある暮らし」「#(商品名)で夏コーデ」のような、ユーザーが参加しやすく、ブランドの世界観が伝わるオリジナルのハッシュタグを設計します。優れた投稿をしたユーザーに商品をプレゼントするなどのイベントを企画することで、投稿の数と質を高めます。キャンペーン実施の目的(認知度向上、購買 促進など)を明確にすることが成功のポイントです。
  • ユーザー投稿の二次利用(許諾取得の重要性)
    ユーザーが投稿した魅力的な画像や動画を、自社の公式サイトや広告 クリエイティブに活用することで、コンテンツ制作のリソースを削減しつつ、リアルな訴求が実現できます。ここで極めて重要なのは、必ず投稿者本人に事前にダイレクトメッセージなどで連絡を取り、利用目的を明確に伝えた上で許諾(パーミッション)を取得することです。無断使用は著作権侵害となり、深刻なトラブルに発展するリスクがあります。

3. ユーザー投稿型コンテンツ

レビューやSNSの簡単な投稿よりも一歩踏み込み、自社の商品やサービスに関連したクリエイティブなコンテンツをユーザーに制作してもらい、それをネットショップやブログ、SNSで紹介する手法です。

具体例

ダイエット商品を販売するネットショップの場合、ユーザーに「ダイエット成功ストーリー」をブログ記事や動画形式で投稿してもらうキャンペーンを行います。こうしたコンテンツによって、実際に商品を使用したユーザーが自身のリアルな経験を発信することになるため、新規顧客にとって非常に説得力のある資料となります。ほかにも、DIY家具の会社が「組み立てシーンのタイムラプス動画」を募集する、食品メーカーが「自社製品を使ったオリジナルレシピ」を公募するなど、アイデアは無限大です。

活用戦略のポイント

  • 参加ハードルを下げる工夫
    誰もが気軽に応募できるよう、スマートフォンで撮影した写真や動画でOKとする、特定のアプリを使うと簡単に応募できる仕組みを用意するなど、参加へのハードルを低く 設計することがポイントです。投稿の手順をわかりやすく示し、ユーザーが迷わないように配慮しましょう。
  • インセンティブの設計
    優秀作品には豪華な賞品を用意するなど、ユーザーの創作意欲を刺激するインセンティブを設定します。賞品だけでなく、「公式サイトで紹介される」といった名誉も、ユーザーにとっては大きなモチベーションとなり得ます。

4. FAQやコミュニティの利用

ユーザー同士が情報交換を行えるコミュニティやQ&Aコーナーを設けることも、価値あるUGCの創出につながります。これはCGM(Consumer Generated Media)の代表例とも言えます。

具体例

アウトドア用品を扱うネットショップに「ユーザーコミュニティ」コーナーを設置し、商品に関する専門的な質問やマニアックな使い方をユーザー同士で回答し合えるようにします。「このテントは風速何メートルまで耐えられますか?」といった企業側では答えにくい質問に対し、経験豊富なユーザーが「先日のキャンプで約15m/sの風でも大丈夫でしたよ」と実体験をもとに回答する。このようなやり取りが活発であれば、サイトの訪問者は安心して質問でき、サイトに対する信頼感も高まります。

活用戦略のポイント

  • コミュニティの活性化
    企業側が積極的にトピックを提供したり、会員限定のイベントを開催したりすることで、コミュニティ内のコミュニケーションを活性化させます。ユーザーからの質問に他の経験豊富なユーザーが答えるという流れが生まれると、サポートコストの削減にも貢献します。
  • ファン育成とロイヤリティ向上への貢献
    コミュニティは、熱量の高い ファンが集まる場所です。彼らの声は、新製品 開発のヒントやサービス改善のアイデアの宝庫となります。彼らを大切にし、特別な情報を公開したり、意見を求めたりすることで、ブランドへのロイヤリティはさらに高まります。これは、カスタマーサクセスの一環としても非常に有効な取り組みです。

UGCのメリット

UGCを戦略的に活用することで、企業は多様なメリットを享受できます。ここでは、その中でも特に大きい 4つのメリットを解説します。

1. 信頼性の向上

UGCがもたらす最大のメリットは、何よりも信頼性の向上です。消費者は、企業による巧みな広告 表現にはある程度の警戒心を持っていますが、同じ消費者の立場からのリアルな声には強い信頼を寄せます。

  • 説得力のある情報源
    企業の宣伝よりも、実際のユーザーが投稿したレビューや写真は説得力があります。特に、初めて商品を購入する新規顧客に対しては絶大な影響力を持ちます。例えば、あまり知られていないブランドの靴をネットショップで購入しようとしたとき、ユーザーの「これまで履いた靴の中で一番快適だった。一日中歩いても疲れにくい」といった具体的なレビューを見つければ、安心して購入に踏み切れるでしょう。
  • 社会的証明(ソーシャルプルーフ)
    「こんなに多くの人が使って満足しているなら、きっと良い 製品なのだろう」という心理が働き、購買への最後の後押しとなります。ある調査 データによれば、UGCが表示されているページは、そうでないページに比較してコンバージョン 率が数%から十数%以上も向上するという結果も出ており、売上向上への貢献が期待できます。

2. ユーザーとのエンゲージメント強化

UGCを積極的に取り入れることで、ユーザーとのエンゲージメント(つながり)が深まります。これは、一方通行のコミュニケーションになりがちな従来のマーケティングにはない大きな特徴です。

  • 双方向コミュニケーションの実現
    ユーザーの投稿を公式 アカウントが「いいね」したり、コメントしたり、さらにはリポストしたりすることで、ユーザーは「自分の声が企業に届いた」「認められた」と感じます。この小さなコミュニケーションの積み重ねが、ブランドへの親近感や愛着を育み、単なる利用者から熱心なファンへと昇華させていくのです。
  • ファン化の促進
    ファンと化したユーザーは、自発的にさらなる質の高いUGCを生成し、友人や知人に商品を勧めてくれる強力な応援団となります。このような強固な関係を構築することが、長期的なブランドの成長を支える基盤となります。

3. コンテンツ制作のコスト削減

質の高いマーケティングコンテンツをゼロから作り続けるには、多大な時間、手間、そして費用がかかります。UGCは、この課題を解決する有効な手段となり得ます。

  • クリエイティブの多様化と量産
    UGCを活用すれば、ユーザーが生成した多様な画像やテキストを広告 クリエイティブやWebサイトのコンテンツとして利用できます。これにより、制作コストを抑えつつ、ユーザー視点のリアルで説得力の高いコンテンツを数多く 用意することが可能になります。マーケティングチームは、削減できたリソースを他の戦略的な取り組みに集中させることができます。企業では思いつかないような新しい切り口のクリエイティブが生まれることも少なくありません。

4. SEO効果の向上

商品レビューやユーザー投稿型コンテンツは、検索エンジンにおいても高く評価されやすいため、SEO(検索エンジン最適化)効果を高め、サイトへの流入を増加させる上でも非常に有効です。

  • コンテンツの量と鮮度の向上
    レビューや口コミが増えることで、Webサイトのテキスト量が自然に増え、コンテンツが定期的に更新されることになります。これは、検索エンジンがサイトの質を評価する上でプラスに働きます。
  • ロングテールキーワードの獲得
    ユーザーは、企業側が想定しないような多様な言葉遣いや表現でレビューを投稿します。これらの自然なキーワード(ロングテールキーワード)がページに含まれることで、より具体的で購買 意欲の高いユーザーの検索にヒットしやすくなり、結果としてサイトへの流入増加に貢献します。Googleが重視するE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の観点からも、実際のユーザーの「経験」に基づいたコンテンツは高く評価される傾向にあります。

UGCのデメリット

多くのメリットがある一方で、UGCの活用には注意すべき点やリスクも存在します。これらを事前に理解し、対策を講じることが失敗しないための鍵となります。

1. ネガティブな投稿のリスク

UGCの最大のデメリットは、ネガティブな投稿や誹謗中傷が投稿されるリスクです。特に、商品やサービスに対する不満があった場合、レビューに辛辣な意見が書かれることがあります。

  • 購買意欲の低下
    例えば、ネットショップの商品ページに「期待していたほど効果がなかった」「すぐに壊れた」というレビューが投稿されると、それを閲覧した消費者が購入を避ける直接的な原因になり得ます。こうした投稿は、他のポジティブな投稿の効果を打ち消してしまうほどの力を持つことがあります。
  • 対策と心構え
    ネガティブな声に対しては、隠蔽したり削除したりするのではなく、公開の場で真摯に対応することが信頼維持につながります。謝罪すべき点は謝罪し、改善策や今後の対策を具体的に 示しましょう。この対応を他のユーザーが見ることで、誠実な企業であるという印象を与え、かえってブランドイメージの向上につながるケースも少なくありません。ネガティブなフィードバックは、製品やサービスを改善するための貴重なヒントであると捉える姿勢が重要です。

2. コンテンツの管理の手間

UGCを多く取り入れると、投稿内容の管理や監視に相応の手間とリソースが必要になります。不適切な投稿や誤解を招くようなコンテンツが増えれば、企業の評判を守るために迅速な対応が求められます。

  • モニタリングの必要性
    投稿内容を定期的にチェックし、誹謗中傷、公序良俗に反する内容、他者の権利を侵害するような投稿がないか監視するプロセスが不可欠です。特に大規模なキャンペーンを実施する際は、投稿が急増するため、管理体制を強化しておく必要があります。
  • 法的リスクへの対応
    著作権・肖像権: ユーザーが生成したコンテンツ(画像、動画、文章など)には、それらを作ったユーザーに著作権が帰属します。自社サイトや広告で二次利用する際には、必ず投稿者本人から利用許諾を得る必要があります。キャンペーンを実施する際は、応募規約に「投稿されたコンテンツは弊社のマーケティング活動に利用させていただく場合があります」といった旨を明記し、応募者に事前に同意をもらえる 仕組みを用意しましょう。
    ステルスマーケティング規制: 2023年10月から日本でも景品表示法における規制が始まったステルスマーケティング(ステマ)にも注意が必要です。インフルエンサーへの依頼など、事業者が関与しているにもかかわらず、それを隠して広告であることを明示しない投稿は規制の対象です。「#PR」などの表示を徹底し、消費者に誤解を与えないよう配慮が求められます。

3. UGC依存のリスク

UGCは強力ですが、それに過度に依存する戦略にはリスクが伴います。ユーザーの意見や体験に頼りすぎると、ブランドとしての一貫性が失われる可能性があります。

  • ブランドメッセージの希薄化
    UGCはユーザーの多様な声であるため、企業として届けたいブランドメッセージやイメージがぼやけてしまう可能性があります。例えば、高級感を訴求したいブランドで、あまりにもカジュアルすぎるユーザー投稿ばかりが目立つと、ブランドイメージの構築が難しくなります。
  • バランスの重要性
    公式のプロフェッショナルなコンテンツとUGCのバランスをうまく 取ることが重要です。UGCはあくまで戦略の1つであり、ブランドの中心となる価値や世界観は、企業自体が責任をもって発信し続ける必要があります。UGCを「コントロールできないもの」と捉えるのではなく、ブランドの物語を豊かにする要素として戦略的に位置づける視点が求められます。

まとめ

ネットショップ運営においてUGCは、消費者の信頼を得るための強力なツールです。特に商品レビューやSNSでのシェア、ユーザー投稿型コンテンツは、ユーザーとのエンゲージメントを深め、サイトの活性化にも大きく貢献します。その活用は、もはや単なるマーケティング手法の1つではなく、ユーザーと共にブランドを作り上げていくという共創の姿勢そのものと言えます。

しかし、その一方で、ネガティブな投稿への対応、コンテンツ管理の手間、そして著作権などの法的リスクも存在します。これらのデメリットを事前に理解し、適切な対策を怠らず、効果的にUGCを活用することが、持続的な成功の実現には不可欠です。

ユーザーの声という宝物を活かすことが、競争の激しい市場で勝ち抜くための鍵となります。本記事が、あなたの事業におけるUGC戦略を構築するための一助となれば幸いです。

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