チャージバックとは?ネットショップ運営者が知るべきリスクと防止策
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最終更新日:2025.09.02

チャージバックとは?ネットショップ運営者が知るべきリスクと防止策

ネットショップ運営におけるチャージバックが発生した際の対応フローも解説

ネットショップを運営する事業者にとって、チャージバックは避けて通れない重要な課題の一つです。クレジットカード決済に伴うリスクであり、適切な対策を講じなければ、売上の減少や業務負担の増加につながる可能性があります。
この記事では、チャージバックの基本的な仕組みやその関連リスク、効果的な防止策、そして万が一発生した際の対応フローについて詳しく解説します。

チャージバックとは

チャージバックとは何かを正しく理解することは、リスクを軽減するための第一歩です。まずはその基本的な仕組み、主な発生原因、特に狙われやすい商材について見ていきましょう。

基本的な仕組み

チャージバックとは、クレジットカード利用者が取引に異議を申し立てることで、その請求が取り消される制度です。クレジットカード会社が決済を取り消し、購入者へ代金を返金する仕組みになっています。EC事業者にとっては、売上が失われるだけでなく、チャージバック手数料が発生することもあります。

クレジットカードの不正利用が原因のチャージバックの流れ
クレジットカードの不正利用が原因のチャージバック

チャージバックの発生原因

チャージバックが発生する主な原因は以下の通りです。

  • クレジットカードの不正利用:盗難カードや情報漏えいによる第三者の不正利用
  • 顧客都合のキャンセル:注文後の「気が変わった」といった理由によるキャンセル
  • フレンドリーフラウド(本人不正利用):購入者本人が意図的に「覚えがない」と主張するケース
  • 配送トラブルや返品ルールの不備:商品未着や不適切な返品対応など

特にネットショップでは、配送トラブルや返品ルールの不備がチャージバックに繋がりやすいため、注意が必要です。

狙われやすい商材

一般社団法人日本クレジット協会が公表している「クレジットカード・セキュリティガイドライン 【5.0 版】」には、不正利用被害の発生状況から、以下の5つがリスクの高い商材として記載されています。
(参考:https://www.j-credit.or.jp/security/pdf/Creditcardsecurityguidelines_5.0_published.pdf

  • デジタル コンテンツ(オンラインゲームを含む)
  • 家電
  • 電子マネー
  • チケット
  • 宿泊予約サービス

これらは高額商品で現金化しやすいため、転売目的で狙われやすいと考えられています。このような商材を取り扱うEC事業者は、特に強固な対策が求められます。

近年増加するチャージバック

近年、クレジットカードの不正利用によるチャージバックが増加傾向にあります。 特にネットショップにおける不正利用の被害は深刻化しており、手口も巧妙化しています。2023年のクレジットカード不正利用被害額が過去最高を更新するなど、EC事業者にとってチャージバック対策はこれまで以上に重要な課題となっています。
この背景には、以下のような不正利用の手口が挙げられます。

  • フィッシング詐欺による情報漏洩
    本物そっくりの偽サイトやメールで、ユーザーを騙してクレジットカード情報を直接入力させる手口です。これにより盗み取られた情報が不正利用されます。
  • ブルートフォースアタック/リバースブルートフォースアタック
    大量のカード番号や有効期限、セキュリティコードを機械的に総当たりで試行し、有効な組み合わせを探し出す手口です。リバースブルートフォースアタックでは、流出したメールアドレスやパスワードを基に、それに紐づくカード情報を探し出そうとします。
  • ダークウェブなどでの不正情報の売買
    フィッシングやハッキングで盗み取られたクレジットカード情報が、匿名性の高いダークウェブなどで売買され、不正利用に悪用されています。

チャージバックのリスク

チャージバックが発生すると、ネットショップの運営にさまざまな悪影響を及ぼします。単なる売上の減少にとどまらず、より深刻な問題に発展する関連リスクが存在します。

売上の減少と金銭的損失

チャージバックが発生すると、対象の売上が取り消されるだけでなく、EC事業者側には決済手数料やチャージバック手数料の負担が発生します。さらに、顧客から商品が返送されない場合は、商品代金分の金額も損失となります。

決済代行会社との信頼低下とアカウント停止

チャージバック率が一定以上になると決済代行会社からの信用が低下し、最悪の場合、決済サービスの利用停止や手数料の引き上げといったリスクが生じ、ネットショップの運営に支障をきたす可能性があります。

業務負担の増加とカスタマーサポートへの影響

チャージバックへの対応には、後述する決済代行会社やクレジットカード会社への証拠資料の提出や、顧客対応が必要となります。これらの業務負担が増加すると、他の顧客への対応が遅れるなど、通常の業務に支障をきたす恐れがあります。

チャージバックが発生した際の対応フロー

万が一チャージバックが発生してしまった場合でも、適切な対応を行うことで被害を最小限に抑えることができます。以下のフローを確認し、迅速な処理を心掛けましょう。

チャージバック通知の確認と対応期限の把握

まずは決済代行会社からのチャージバック通知を確認し、異議申し立てが可能かどうかを判断します。指定された期限内に対応しないと、自動的に請求が取り消されてしまうため、迅速な対応が求められます。

必要な証拠書類の準備と異議申し立て

異議申し立てを行う場合は、以下の証拠資料を収集し、決済代行会社やクレジットカード会社に提出します。

  • 取引履歴
  • 顧客とのメールやチャットのやり取り
  • 配送情報(追跡番号、配達完了の証拠など)

明確な証拠があれば、チャージバックの取り消しが認められる結果につながる可能性があります。

異議申し立て後の流れ

証拠書類を提出し、異議申し立てを行った後の流れは以下のようになります。

  1. 審査
    提出された証拠書類は、決済代行会社を通してクレジットカード会社(発行会社)に送られ、内容が審査されます。この審査には通常、数週間から数ヶ月かかることがあります。
  2. 結果の通知
    審査の結果、異議申し立てが認められた場合(チャージバックの取り消しが決定した場合)は、決済代行会社からEC事業者へ通知があり、取り消されていた売上が返金されます。
  3. 異議申し立ての却下
    異議申し立てが却下された場合は、チャージバックが確定し、EC事業者は売上を失うことになります。却下理由が通知される場合もあるため、今後の対策に活かすために内容を確認しましょう。
  4. 再チャージバック(セカンドチャージバック)
    まれに、EC事業者の異議申し立てが一度認められたにもかかわらず、購入者側が再度チャージバックを申し立てる「セカンドチャージバック」が発生する場合があります。この場合も、同様のプロセスで対応が必要となりますが、一度却下された理由を克服できる新たな証拠が必要になります。

異議申し立ての結果が出るまでには時間がかかるため、その間もチャージバックの原因分析や、今後の対策立案を進めることが重要です。

チャージバックの防止策

チャージバックを完全に防ぐことは難しいですが、適切な対策を講じることで発生リスクを大幅に軽減できます。以下の方法を実践し、より安全なネットショップ運営を目指しましょう。

クレジットカード決済のセキュリティ強化

不正利用を防ぐために、以下の対策を講じることが有効です。

  • 3DセキュアやCVV認証の導入
    3Dセキュア2.0は、過去の購入履歴や利用状況、デバイス情報などを基に、クレジットカード会社が不正利用の可能性が高いと判断した取引に対して追加認証(ワンタイムパスワードや生体認証など)を行います。これにより、パスワードの盗難リスクを低減します。
    CVV認証は、カード裏面のセキュリティコードを入力させることで、盗難カード情報の悪用を抑制します。

    ▼3Dセキュアに関する記事はこちら
    クレジットカード不正利用が過去最大に!3Dセキュア2.0の導入義務化?
  • 決済代行会社の不正検知システムを活用
    AIや機械学習を活用した不正検知システムは、不正取引の兆候をリアルタイムで分析し、不審な決済を自動的にブロックします。IPアドレスやデバイス情報、購入履歴などを基に異常なパターンを検出し、不正利用の疑いがある取引には追加認証を要求します。

明確な返品・キャンセルポリシーの設定

返品やキャンセルに関するルールを明確に定め、顧客が納得しやすい条件を提示することで、不要なチャージバックの発生を防ぐことができます。サイト内で分かりやすい場所にポリシーを記載することが重要です。

カスタマーサポートの強化とトラブル回避策

カスタマーサポートを強化することは、顧客が安心して購入できる環境を作り、トラブル発生を未然に防ぐことにつながります。結果的にチャージバックのリスクを軽減できます。特に以下の対応が効果的です。

  • 注文後の確認メールの送信:注文内容や配送予定を明確に伝える
  • 問い合わせ対応の充実:顧客からの質問や疑問に迅速かつ丁寧に対応する
  • リアルタイムチャットやFAQの活用:顧客が自己解決できる環境を整える

▼カスタマーサポートに関する記事はこちら
カスタマーサポートの役割と売上に繋がる理由 

注文・取引の記録を適切に管理

万が一、決済代行会社やクレジットカード会社への異議申し立てが必要になった際に備え、以下の情報が記載された資料を適切に保存し、迅速に提出できるよう準備しておくことが重要です。

  • 購入履歴
  • 配送情報
  • 顧客とのやり取り(メール、チャットなど)

再発防止策の実施と長期的な対策

チャージバックはネットショップを運営する事業者にとって大きなリスクとなりますが、適切な対策を講じることで、その発生リスクを大幅に軽減することが可能です。また、万が一チャージバックが発生した場合でも、適切な対応を行うことで被害を最小限に抑えることができます。今回ご紹介した対策や対応フローを参考に、チャージバックへの対応を改めて見直してみてください。

経済産業省は、不正利用対策の一環として、原則として全てのEC加盟店に対し、2025年3月末までに3Dセキュア2.0の導入を求めています。Eストアーショップサーブが提供する3Dセキュア2.0は、毎回パスワードを入力させるのではなく、過去の購入履歴や利用状況、デバイス情報などをもとに、クレジットカード会社が不正利用の可能性が高いと判断した取引のみ追加認証を行います。実際に3Dセキュア2.0を導入したことで、チャージバック被害を86%も減少させることができた結果が出ている事業者様もいらっしゃいます。

Eストアーショップサーブの「クレジットカード本人認証サービス(3Dセキュア)」オプションをお申し込みいただければ、初期費用、月額利用料無料で3Dセキュア2.0がすぐにご利用いただけます(※トランザクション処理手数料として、1回の処理ごとに手数料がかかります)
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