ネットショップを始める前に知っておきたいこと
近年、電子商取引(EC: electronic commerce)は日本国内でも急速に普及しており、経済産業省の市場調査や報告書によれば市場規模は年々増加し、2023年には20兆円を超える規模に達したとされています。こうした動向は単なる一時的なトレンドではなく、消費者の買い物習慣や企業のビジネスモデルの変化に大きく関連しています。特にスマートフォンやアプリの普及、通販モール(楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングなど)やフリマアプリ(メルカリなど)の浸透により、一般消費者(B to C )から企業間取引(B to B)、さらには個人間取引(C to C)に至るまで、多様な取引形態がインターネット上で行われています。
これからネットショップを立ち上げたいと考える事業者にとっては、低コストで開業できる点や業務効率化を進められる点など、従来型の店舗運営にはなかった数多くのメリットが存在します。その一方で、競争激化やセキュリティ、物流の問題といった課題も無視できません。本記事では、EC事業のメリットとデメリットを比較しながら、今後の展望についても解説します。
EC事業のメリット
1. 低コストでビジネスを始められる
EC事業の最大の特徴は、物理的な店舗を構築する必要がなく、費用を大きく抑えられることです。従来の小売店では、店舗賃貸料・内装費・人件費・光熱費など多額の初期投資が必要でした。しかし、ネットショップであればプラットフォームを利用して簡単に出店でき、ASP型のパッケージを選択すれば月額数千円のプランからスタートすることも可能です。
また、最近では自社サイトをCMSやASPサービスで作成する過程でデザインや機能を徹底的にカスタマイズする事例も増えています。資料や成功事例を参考にしながら、目的に応じた運用形態を検討することが可能です。
さらに、越境ECを活用すれば海外の消費者にも直接販売が可能で、国内市場だけに依存しない販売モデルを構築できます。楽天市場やAmazonといった大型モールに出品する方法と、自社サイトを立ち上げる方法の違いを理解したうえで選択することが大切です。
2. 24時間営業が可能
ネットショップの代表的なメリットは、時間や場所に制限されずに注文を受け付けられる点です。実店舗では営業時間が限られており、夜間や休日に売上を上げるのは難しいですが、インターネット上の店舗であれば24時間365日稼働できます。
これにより、日本国内だけでなく海外からのアクセスにも対応でき、グローバルな市場規模において取引を拡大することが可能です。特にアパレルや食品など、定期的に需要が発生するジャンルでは、消費者が時間を選ばず買い物できる仕組みが大きな魅力となります。

3. 多様なマーケティング手法を活用できる
EC事業ではSEO、SNS広告、メールマーケティング、インフルエンサーマーケティングなど多彩な集客手法を利用できます。特にSEO対策は、検索結果にサイトを表示させることで長期的に集客を確保する基本的な施策のひとつです。
- SEO記事やコンテンツ作成
- メルマガ配信によるCRM活用
- SNS投稿や動画広告による認知拡大
- アプリを活用したプッシュ通知でのリピート促進
これらの施策は、それぞれ費用対効果が異なるため、予算や目的に応じた選択が求められます。特に2022年以降はインフルエンサーや動画メディアとの連携がトレンドとなっており、従来型の広告だけでは難しくなったブランディングを補完する役割を果たしています。
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4. 顧客データを活用した販促活動
EC事業では、購買履歴や閲覧データといった顧客情報を自動的に収集できます。これを分析することで、顧客ごとに最適な商品提案を行い、パーソナライズされたコミュニケーションを実施することが可能です。
例えば、過去の購入商品を基にレコメンド機能を設計したり、特定のタイミングで割引クーポンを配信したりする仕組みは、多くの成功事例で成果を上げています。こうしたCRM施策は、LTV(顧客生涯価値)を効果的に高めるうえで欠かせません。
5. 柔軟な在庫管理と出荷
従来の小売業では在庫管理に多くの人手やコストがかかっていました。しかしECでは、リアルタイムで在庫を確認でき、出荷もスムーズに行えるようになっています。さらに「ドロップシッピング」や「受注生産」といったモデルを導入することで、自社に在庫を持たずに販売を継続できるケースもあります。
物流代行サービスを活用すれば、梱包・配送といった業務を外部に委託できるため、事業者はマーケティングや商品企画に集中できます。食品やアパレルなどサイズや種類が多い商材でも、効率的に在庫を分けて管理する仕組みを整えることが可能です。

EC事業の課題
1. 競争の激化
EC市場は急速に拡大している一方で、参入事業者も年々増加しています。大手モールでは価格競争が激しく、特に同じ製品を扱う場合は他社との差別化が難しいのが現状です。自社ブランドの独自性を打ち出すブランディング戦略や、サイトのデザイン改善、コンテンツマーケティングの徹底などが求められます。
2. 信頼の獲得
オンラインでは商品を直接確認できないため、消費者が不安を抱くことは避けられません。そのため、商品の写真や説明を明確に表示すること、レビューや口コミを積極的に集めることが重要です。また返品ポリシーや請求に関するルールを整備し、安心して利用できる仕組みを提供することが信頼構築の基本です。
3. 物流と配送の課題
配送の遅延や在庫切れは、顧客満足度を大きく下げる要因です。特に日本国内だけでなく海外配送を行う場合、関税や規制といった問題が加わり難しくなります。
物流業務を改善するためには、在庫管理システムの導入や複数の配送業者との契約が有効です。結果としてスピードと安定性を維持することがブランドの信頼性につながります。
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4. セキュリティと個人情報の保護
ネットショップでは決済や個人情報を扱うため、セキュリティは常に重要な課題です。特に近年はサイバー攻撃の手口が進化しており、SSL暗号化や二段階認証、AIを活用した不正検知など最新の対策を導入することが欠かせません。
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・情報漏洩ゼロのショップサーブが解説!ネットショップの強固なセキュリティ
5. 集客・販促活動の工夫
ネットショップは立ち上げただけでは消費者に届きません。SEO対策、SNS広告、メール配信、インフルエンサーマーケティングなど、複数の施策を組み合わせる必要があります。さらに既存顧客をリピート購入へと導くためには、定期的な情報提供やクーポン配布など継続的な工夫が必要です。
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・認知拡大から売上向上を狙う!戦略的なインフルエンサーマーケティング
今後のEC事業の展望
2024年以降もEC市場はさらに拡大し続けると予想されています。特に越境ECやOMO(Online Merges with Offline:オムニチャネル戦略)の重要性が増しており、オンライン(ネットショップなど)とオフライン(実店舗)の垣根を越えた購買体験が注目されています。
また、AIや自動化技術の進化に伴い、在庫管理やカスタマーサポートの業務効率化が進んでいます。ネットショップは単なる販売チャネルではなく、ブランディングや顧客とのコミュニケーションを担う場としての役割を強めていくでしょう。
まとめ
EC事業は低コストで始めやすく、多様なマーケティング手法やデータ活用によって高い成長性を期待できます。しかし同時に、競争激化、信頼獲得、物流、セキュリティ、集客といった多くの課題が存在します。
重要なのは、自社の強みや目的を明確にし、最適なプランやツールを選択することです。
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