会員登録記念日クーポンでリピート率UPを狙う方法
ECサイトのリピーター施策として「誕生日クーポン」が広く活用されています。しかし、誕生日を登録していない会員も多く、全てのユーザーに向けて実施できるわけではありません。 そこで、「誕生日以外にも、誰もが平等にお祝いされる記念日を作れないか?」というアイデアから生まれた 「会員登録記念日クーポン」をご紹介します。
この施策では、会員登録日をアニバーサリーとして祝い、1年ごとに特別クーポンをプレゼントすることで、リピート購入を促進。クーポンの内容や配信条件を工夫し、クリック率・コンバージョン率(CVR)の向上を実現しました。
本記事では、会員登録記念日クーポン施策の詳細と、その効果をデータとともに解説します。
アニバーサリー施策の必要性と「会員登録記念日」の発想
リピーター獲得を強化する上で多くのECサイトで導入されているのが誕生日クーポンですが、実はこの施策、意外な落とし穴があるのはご存知でしょうか。そこで注目したいのが、「会員登録日」を記念日として活用するという新しいアプローチです。すべての会員に対して平等にアニバーサリーを提供できるこの施策は、会員一人ひとりに特別感を届けるきっかけとなります。
まずは、従来の誕生日クーポン施策の課題と、「会員登録記念日」を設定するメリットについて整理していきましょう。
誕生日クーポンの課題と新たな記念日を作る理由
一般的なアンケートの回答率は約20%から30%とされており、この数値は、アンケートの内容や対象者、配布方法などによって変動します。以下のグラフで設問タイプ別に年代別の不正回答発生率を比較してみると、概ね、年齢が上がる程低くなり、年齢が下がる程高くなる傾向があることがわかります。特に5段階マトリクス(表形式)設問における年代差が顕著で、60代に比べて20代の不正回答率は約2.6倍にのぼる。(※年代が上がるほど不正回答率が低いのではないかという仮説から、60代の不正回答率を1として、各年代の値を算出。)

出典:アンケートの回答時間と不正回答の関連性を検証~第二弾~
会員登録時にアンケートを設け、回答内容に応じたワントゥーワンマーケティングを展開する手法は、今や一般的な取り組みとなっています。しかし、すべてのユーザーが必ずしもアンケートに回答するとは限らず、情報の取得にばらつきが生じることから、全顧客に対して均等なアプローチを行うのは難しいという課題があります。
これは誕生日登録にも同じことが言えます。誕生日クーポンを配信しようとしても、登録時に誕生日を入力していないユーザーには届けることができません。入力の手間を感じてスキップされてしまうケースも多く、結果的に一部の顧客しか対象にできないという制約が生まれてしまうのです。
会員登録日を記念日にするメリットとは?
そこで注目したいのが「会員登録日」の活用です。この情報は、すべてのユーザーに必ず存在するため、誰一人取りこぼすことなく平等に施策を届けることができます。しかも、登録日はショップサーブに標準で記録されているため、新たに情報を取得したり、特別な設定を加えたりする必要がなく、スムーズに運用できるのも大きな利点です。

「◯年継続ありがとうございます」というメッセージを添えることで、長く利用している会員に対して感謝の気持ちを伝えられ、ロイヤリティの向上にもつながります。こうした記念日を一緒に祝う体験は、ブランドとユーザーの間に築かれてきた関係性を改めて実感してもらう機会となり、自然なかたちでリピート購入を促進する効果も期待できます。
「会員登録記念日クーポン」施策の概要
実際に、「会員登録記念日」を軸にしたクーポン施策を導入したところ、想定以上の効果が得られました。ここでは、その施策概要と成果データから、どのような成果が生まれたのかを振り返ります。
配信タイミング:会員登録日から1年ごと
勤続年数:10年分
オファー:500円オフ個別クーポン
条件:5,940円以上で利用可能
有効期限:メール送信日から30日後
件名:会員登録◯年感謝のクーポン付き!

売上データから見る効果
今回の会員登録記念日クーポン施策では、2024年11月〜2025年2月の4ヶ月間で合計571件のメールを送信し、開封率の平均は45.01%と比較的高い数値を記録しました。クリック率は11.03%、クリック数は63件と、関心を引く施策であったことがうかがえます。CV(コンバージョン)数は合計51件で、平均CVR(コンバージョン率)は8.93%。この期間の総受注金額は423,211円、平均客単価は8,298円となっており、メール施策としては非常に良好な成果が得られたといえます。
年月 | 送信数 | 開封 | 開封率 | クリック | クリック率 |
2024年11月 | 37 | 19 | 51.35% | 7 | 18.92% |
2024年12月 | 237 | 112 | 47.26% | 27 | 11.39% |
2025年1月 | 163 | 77 | 47.24% | 19 | 11.66% |
2025年2月 | 134 | 49 | 36.57% | 10 | 7.46% |
合計 | 571 | 257 | 63 | ||
平均 | 143 | 64 | 45.01% | 16 | 11.03% |
年月 | CV数 | CVR | 受注金額 | 客単価 | リマインド | リマインド% |
2024年11月 | 3 | 8.11% | 20,466 | 6,815 | 0 | 0.00% |
2024年12月 | 20 | 8.44% | 203,121 | 10,156 | 3 | 15.00% |
2025年1月 | 12 | 7.36% | 89,072 | 7,423 | 3 | 25.00% |
2025年2月 | 16 | 11.94% | 110,572 | 6,911 | 4 | 25.00% |
合計 | 51 | 42,211 | 10 | |||
平均 | 13 | 9.83% | 105,803 | 8,298 | 3 | 19.61% |
特に2024年12月以降は「会員登録〇年記念クーポン」としてリマインドメールも配信しており、12月以降の3ヶ月で合計10件のリマインド送信が行われました。その効果も明確に数値として表れており、リマインド送信月(2025年1月・2月)はCVRがそれぞれ7.36%、11.94%と高水準を維持。中でも2025年2月はCVRが最も高く、客単価6,911円・受注金額110,572円と堅実な売上につながっています。
また、リマインドメールの実施によって、リマインド対象者のうち平均19.61%が再度反応を示しており、1回の送信で完結しない「継続アプローチ」の有効性が示された結果となりました。
まとめ
「会員登録記念日クーポン」は、すべての会員に対して平等に特別感を提供できる、新しいリピーター施策として有効だということがおわかりいただけたかと思います。特に、誕生日情報が不足しているサイトや、継続年数の可視化を強みにしたいブランドにとっては、導入のハードルが低く、効果も期待できます。長期会員への感謝を示す機会を定期的に設けることで、自然なロイヤリティ強化が図れる点も魅力です。EC運営において、こうした“感情に寄り添うアプローチ”が、数値的な成果だけでなく、ブランドとの関係性構築にも寄与するのではないでしょうか。今後のリピーター施策のスタンダードとなりうる施策です。
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