顧客ロイヤリティの向上に役立つNPSとは?
  • ECマーケティング

公開日:2025.05.28

顧客ロイヤルティの向上に役立つNPSとは?

計算方法や活用方法、メリット・デメリットを解説

ECサイトの運営において、顧客の満足度やロイヤルティを高めることは重要な課題です。その指標として注目されているのがNPS(Net Promoter Score)です。NPSを活用することで、リピーターを増やし、売上の向上に繋げることができます。本記事では、NPSの基本から計算方法、活用方法、注意点を解説します。

NPSとは?

NPS(Net Promoter Score)は、顧客が商品やサービスを他者にどれだけ推奨するかを測る指標です。単なる顧客満足度とは異なり、企業やブランドへの忠誠度を数値化できるため、ECサイトの運営改善に大きく貢献します。

この指標は2003年にフレデリック・F・ライクヘルドによって提唱され、シンプルな質問一つで顧客のロイヤルティを測定できる点が特徴です。そのため、世界中の企業で広く採用されています。

顧客満足度(CS)との違い

顧客満足度(CS)は、特定の購買体験やサービスへの満足度を測る指標であり、一時的な評価にとどまります。一方、NPSは継続的なロイヤルティの高さを示し、リピーターや口コミによる新規顧客の獲得に繋がる点が特徴です。

例えば、顧客がECサイトで商品を購入した際に「商品には満足しているが、再購入するかどうかは分からない」と感じる場合、顧客満足度は高いかもしれませんが、NPSには反映されない可能性があります。そのため、ECサイトの成長にはCSとNPSの両方を適切に活用することが重要です。

NPSの計算方法

NPSは、「この商品・サービスを友人や同僚に勧める可能性は?」という質問に対し、0~10のスコアで回答を得ることで測定します。

  • 推奨者(Promoters): 9~10を選んだ顧客
  • 受動者(Passives): 7~8を選んだ顧客
  • 批判者(Detractors): 0~6を選んだ顧客

NPSスコアは、推奨者の割合から批判者の割合を引いた値で求められます。

例えば、100人の回答者のうち40人が推奨者、30人が受動者、30人が批判者だった場合、NPSスコアは「40%−30%=10」となります。

NPSを活用するメリット

それでは、NPSを活用することによる具体的なメリットはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは主なメリットを紹介します。

顧客ロイヤルティの可視化ができる

NPSを活用することで、ECサイトのファン層の割合を定量的に把握できます。単なる満足度調査ではなく、リピーターや口コミを広げる可能性のある顧客を特定できる点が大きな強みです。推奨者の割合が高いほど、ブランドの支持基盤が厚いことを示し、長期的な売上向上に寄与します。

企業成長との相関性が高い

NPSは企業の成長と密接な関係があると言われています。高いNPSを維持する企業は、顧客の定着率が高く、新規顧客の獲得コストも削減できます。リピーターが増加することで、売上や利益の安定にも繋がります。また、推奨者が多い企業ほど、口コミによる新規顧客の流入が期待でき、広告コストの削減にも寄与します。実際、多くの成功企業がNPSを重要なKPIとして活用し、スコア向上のための施策を積極的に実施しています。

ベンチマークとして活用できる

NPSは、競合他社との比較や市場のトレンドを把握するためのベンチマーク指標としても有用です。業界平均と比較することで、自社の顧客ロイヤルティの立ち位置を理解し、競争優位性を確立するための戦略の立案にも役立ちます。

NPSのデメリットと注意点

NPSには多くのメリットがありますが、活用にあたっていくつかの注意点もあります。

実際の購買行動と一致するとは限らない

NPSは顧客の推奨意向を示す指標ですが、必ずしも実際の購買行動と一致するとは限りません。例えば、高スコアをつけた顧客が、必ずしもリピート購入をするとは限らず、逆に低スコアの顧客が継続的に利用することもあります。そのため、NPSのスコアだけを過信せず、売上データやリピート率、顧客の行動データと組み合わせて分析することが重要です。

業界や文化によってスコアが異なる

NPSのスコアは業界や文化によって大きく異なるため、異なる業界間で単純比較するのは適切ではありません。例えば、EC業界では比較的低めのスコアが一般的ですが、ホテルや旅行業界では高いスコアが出やすい傾向にあります。また、国や地域によっても評価の傾向が異なるため、競合他社や業界平均と比較しながら自社のNPSを評価することが必要です。

顧客の本音を完全には把握できない

NPSの調査では、「どの程度推奨するか」という質問に対する数値データしか得られないため、顧客の具体的な不満や満足点を深く知ることはできません。そのため、オープンエンドのコメント欄を設けるなどして、定性的なデータを収集し、スコアの背後にある顧客の本音を分析することが重要です。

ECサイトでのNPS活用方法

それではECサイト運営において、NPSはどのように活用できるでしょうか。

NPSの定期測定とトレンド分析

NPSは一度の測定だけでは十分な分析ができません。定期的に測定を行い、スコアの推移を追うことで、顧客ロイヤルティの変化を把握できます。特に、大規模なキャンペーンやサービス変更の前後でスコアを分析することで、施策の影響を評価し、より効果的な改善策を講じることが可能になります。また、競合他社のNPSスコアと比較することで、自社のポジションを明確にし、さらなる成長戦略を立てることができます。

推奨者を活用したマーケティング戦略立案

推奨者が多い場合、その顧客層を活用することでマーケティング効果を高めることができます。具体的には、紹介プログラムやロイヤルティプログラムを活用し、リピーターを増やす施策が効果的です。また、推奨者の口コミをSNSやレビューサイトに掲載することで、新規顧客の獲得にもつながります。さらに、推奨者に対してアンバサダープログラムを展開し、ブランドのファンとして活動してもらうことで、より強固なブランドロイヤルティを構築できます。

批判者のフィードバックを改善施策へ活用

批判者の意見を詳細に分析することで、ECサイトの課題を特定し、具体的な改善策を講じることができます。例えば、サイトの使い勝手の改善、カスタマーサポートの強化、配送の迅速化など、批判者が指摘する問題点に対応することが重要です。改善後にはフォローアップを行い、満足度の向上を図ることで、批判者を受動者や推奨者へと転換し、NPSスコアの向上につなげることも重要です。

NPSは、ECサイト運営において顧客ロイヤルティを測定し、改善するための有力な指標です。ただし、NPSスコアだけに頼るのではなく、購買データや顧客の具体的なフィードバックと組み合わせて活用することが重要です。

顧客ロイヤルティを可視化し、その改善に役立つNPS。ECサイトを運営されている多くの事業者様に役立つ指標の1つとなっています。
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