CRMの活用で差がつく訴求戦略
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最終更新日:2025.09.08

CRMの活用で差がつく訴求戦略

メルマガ受け取り率・開封率を上げるための戦略と考察

EC市場が拡大し、多様化したチャネルを活用したマーケティングが標準となった現代において、企業は顧客との関係を深め、ロイヤルティや顧客維持に直結する施策を実行することが求められています。SNS、広告、SEOといった集客施策が注目される一方で、最も直接的に顧客と接点を持てるチャネルの一つが メールマガジン(メルマガ) です。

しかし現状、多くの会社が直面している課題は「受け取らない」と選択される、あるいは「開封されない」という二つの壁です。この問題を解決するためには、単なるツール導入ではなくCRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)やSFA、MA、さらにはAIを含むプラットフォームの総合的な活用が欠かせません。

CRMを軸とした施策は、単なる営業支援や商談管理に留まらず、見込み顧客の獲得から育成、既存顧客の維持やリピート促進まで幅広い領域に展開できます。営業部門やマーケティング担当者が情報を共有しやすくなることで、部署ごとの効率や業務効率化を図れる点も大きなメリットです。さらに、イベント案内やセミナー開催時にフォームを通じて収集した情報をデータベースに登録し、適切なタイミングでアクションを自動化すれば、従来属人的であったタスクもスムーズに運用できるようになります。

本記事では、CRMを活用した訴求戦略を軸に、メルマガ施策を「受け取り率」と「開封率」という二つの観点から深堀りし、事例と考察を交えながら具体的な手法を解説していきます。

メルマガ施策におけるCRMとは

CRMは単なる「顧客情報管理ツール」ではなく、マーケティング、営業、カスタマーサポートの基盤となる 統合的なシステム です。氏名・住所・メールアドレスに加え、購買履歴や問い合わせ履歴、Web上の行動履歴を一元的に管理し、戦略的に活用することで 顧客理解の向上施策の最適化 が可能となります。

メルマガ施策におけるCRMのメリットを整理すると以下の通りです。

顧客理解の精度向上

CRMを活用することで、各顧客の購買履歴や関心度、行動履歴などの情報をリアルタイムで可視化できます。これにより、どの顧客がどのタイミングで商品を求めやすいか、どのような内容に反応しやすいかを把握でき、施策の 効果測定 が容易になります。さらに、過去のキャンペーンやセミナー参加情報をもとに、より精度の高い ターゲット抽出 が可能です。

セグメント配信の最適化

顧客を一律に扱うのではなく、購買頻度や関心度、属性に応じてメルマガ内容を変えることで、受け取り拒否や開封されないリスクを減らせます。CRMを活用したセグメント配信により、以下のような効果が期待できます。

  • 購入直後のフォローアップメールを自動化
  • 関心度が高い顧客向けにパーソナライズされた内容を配信
  • 長期間購買のない顧客に対して再アプローチ

効果測定と改善サイクル

CRMに蓄積されたデータは、営業部門 や マーケティング担当者にとって貴重な資産です。開封率やクリック率、購買率の変化をリアルタイムで確認し、施策の改善やPDCAの回転を促進します。各種レポートやダッシュボードを活用することで、社内での情報共有や施策の透明性も高まります。

つまり、CRMを活用することで「受け取りやすい」「開きたくなる」メールを戦略的に届けられるようになります。
ここからは実際の事例を見ていきましょう。

事例:バナーで受け取り率を上げる取り組み

せっかくCRMを活用して顧客一人ひとりへアプローチがしたくとも、メルマガが届かなければ何も意味がありません。商品の購入時にお知らせメールを「受け取る」「受け取らない」の選択画面で、「受け取らない」を選択されてしまっては届けることが不可能です。

そこで店舗さんのご協力の元、ある施策を試すことにいたしました。

メルマガ受け取り可否について、主に見かけるのはテキストのみの上記のような選択画面です。
「会員様特典やお得なセール情報が届く」お得感満載なメルマガであっても、多くのユーザーに「受け取らない」を選択されてしまっているのではないでしょうか。

UI観点ではよく知られていることですがユーザーは思っているほど文字を読まず、Webサイトの文章は2割しか読まないと言われています。

そこで文字だけではなくバナーを入れて訴求することにいたしました。

文字だけではなく画像とアイコンを追加することで、文字を読まれずともイメージでお得であることが伝わるのではないでしょうか。

結果と考察

この施策を実施した結果が以下です。

ご覧の通り、現状結果は得られませんでした…
なぜ思ったように受け取りが増えなかったのか考察します。

  • 実施した店舗が閑散期に入っていたため、全体の購買活動が低調だった
  • バナー設置自体が目的化してしまい、その後の導線や購買促進まで考え切れていなかった
  • 計測期間が短く、長期的な傾向を把握するには至らなかった

計測期間が短く、閑散期であったこともあり、もうしばらくは経過観察が必要と思われます。施策に対して本質を追求する必要性を再認識しました。

事例:開封率を上げるタイトル最適化

次は別の施策結果のご紹介です。
メルマガを受け取ってもらえたとしても、メルマガが開かれていなければ意味がありません。メルマガが届いて真っ先にユーザーの目に入るのがメルマガのタイトルです。

今回はメルマガ開封率を上げるために、より効果的なタイトルを模索するABテストを行いました。
今回の施策を行った店舗さんは手帳を毎年予約販売しています。毎年買い替えるもののため、リピーター顧客やファン層がいると想定し、下記で施策を行いました。

計測期間:1か月(予約販売期間)
対象 7524件(A:3762件、B:3762件)
かつ
手帳を過去3年間で3回以上購入している顧客

この店舗さんでは前回もメルマガの施策を行っており、「特典」よりも「予約開始日」による訴求の方が若干有効という結果でした。

そのため今回は【販売時期を押し出した方がより効果的】を仮説として、下記の2つのタイトルでメルマガを送付しました。

A「 \おトクな特典付/2024年版ダイアリー事前予約販売開始!」

B「【明日から予約開始】2024年版ダイアリー事前予約販売開始!」

結果と考察

この2タイトルでメルマガを送付した結果が下記の通りです。

結果として、Aの特典よりもBの「販売開始時期を強調したタイトル」の方が開封率15.4%向上、メルマガ経由の売上も12%増加しました。同商品の前年同月比で112%の売上成長という成果につながりました。

この成功事例から得られたポイントは以下の通りです。

  • ターゲットのニーズにマッチしたメルマガタイトルは、開封率及び売上UPに貢献していた
  • ターゲット(毎年購入しているファン)に刺さるのは、「特典」や「お得感」よりも、
    「よろこび」や「ワクワク感」、「期待」に動かされる
  • 顧客を厳選し、訴求ポイントを明確にして施策を行うことが重要

CRMの一元管理機能を活用し、既存顧客と新規顧客を区別した上で戦略を立てることが、開封率や購買率の改善に直結します。

未来のメルマガ戦略 CRM×MA×AI

今後のネットショップ運営では、CRMとMA(マーケティングオートメーション)、さらにAIを組み合わせることで、より効率的で精度の高いメルマガ施策が実現できる可能性があります。

MAによる自動配信や顧客行動の記録、育成プロセスの効率化

将来的には、顧客の行動履歴に基づいて自動で情報配信やフォローアップを行い、業務負荷を減らせる可能性があります。

AIによる顧客データ分析・購買予測・パーソナライズ施策の実現

AIが購買傾向や興味関心を分析し、個々の顧客に合わせた提案やコンテンツ生成を支援する可能性があります。

CRMによる顧客情報の統合・全体把握・コミュニケーション強化

顧客情報を一元管理することで、部門間での情報共有や施策の整合性が向上し、顧客対応の精度向上に繋がる可能性があります。

これらを組み合わせることで、例えばAIが分析した傾向をもとに、MAで自動配信を行い、CRMで成果を確認するといった一連の流れを将来的に構築できるかもしれません。このような連携が実現すれば、従来は属人的だった営業活動やマーケティング施策をより効率的に進められ、企業の収益向上にも寄与する可能性があります。

まとめと今後の展開について

本記事では、CRMを活用して「受け取り率」と「開封率」を上げるための事例を紹介しました。
実際の事例から得られた学びは次の通りです。

受け取り率改善の事例

UI改善(バナー設置)を試みたものの、効果は限定的でした。この結果から「受け取り率向上には単なるUI変更ではなく、CRMを基盤にした顧客理解と訴求設計が不可欠」であると分かりました。特典提示や配信頻度の選択肢など、心理的ハードルを下げる工夫が重要です。

開封率改善の事例

CRMでリピーターをセグメントし、最適化したタイトルを出し分けた結果、開封率・売上ともに大幅に改善しました。これは「顧客理解を前提にしたパーソナライズ施策が、実際に成果へ直結する」ことを示しています。

受け取り率改善の事例と開封率改善の事例から得られた本質は、顧客理解を深め、それぞれの状況に合った適切な施策を継続的に展開すること です。単なるUI改善やタイトル変更に留まらず、顧客関係管理・営業支援・マーケティングオートメーションを統合的に運用することが、長期的な利益創出に直結します。

今後はMAやAIとの連携による 新しいプラットフォーム型の運用体制 が普及し、メルマガ施策は単なる配信手段から、経営戦略の中心に位置づけられる領域へと進化していく可能性があります。

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